Apple、2022年にVRヘッドセットをリリースか 5Gによって再注目されるVR市場

 VRヘッドセットという単語から連想する企業は、Oculusを傘下におさめるFacebookやHTC、あるいはSonyといったところだろう。こうした企業名にAppleが加わるかも知れない。VR市場は、いくつかの理由から2020年代になって再注目されている。

ARメガネ発表のための布石か

 22日、ゲームメディア『IGN』をはじめとした多数の海外メディアが、AppleにVRヘッドセットをリリースする予定があると報じた。ブルームバーグの報道にもとづいたIGNの記事によると、Apple製VRヘッドセットは早ければ2022年にリリースされるようだ。

 Apple製VRヘッドセットには同社製チップM1の最新版が搭載され、Oculus Questといった競合製品よりディスプレイの画素数が多くなると見られている。VRヘッドセットの特徴である頭部に装着するディスプレイには、平面ディスプレイより高解像度かつ高フレームレートでの描画が要求される。それゆえ、負荷の大きい描画処理が生じることにより、Ap同ヘッドセットには内蔵ファンが実装される可能性がある。Oculus Questのようなスタンドアロン型になるとも伝えられている。

 Apple製VRヘッドセットの初期の試作モデルでは、かなりの重量となってしまいユーザの首に負担がかかるものであった。対して現在開発中のモデルでは、デバイスの素材に布を使って軽量化をはかっている。また、メガネを使っているユーザに対しては度付きのレンズを挿入して使うように開発が進められている、とのこと。

 Apple製VRヘッドセットには、いくつかのAR機能も実装されるという。こうしたAR機能は、以前より噂されているApple製ARメガネをリリースする布石と考えられる。同ARメガネは、2023年にリリースされると言われている。

 以上のようなApple製VRヘッドセットは、競合製品より高額になると予想されている。ちなみに競合製品の代表であるOculus Quest 2は、64GBモデルが37,100円、256GBモデルが49,200円である。

コロナ禍もVR市場に影響

 Appleが参入するかも知れないVR市場は、Oculus RiftやHTC Viveがリリースされた2016年に「VR元年」を迎えた。その後、モバイルVR市場も誕生したのだが予想よりVRヘッドセットの普及が進まず、GoogleのモバイルVR市場からの撤退も重なり、VR市場の熱気は下火となった。

 一時は下火となったVR市場は、実のところ、緩やかな成長を続けていた。調査会社Grand View Researchが2020年6月に公開したVR市場に関するレポートによると、2019年における世界のVR市場規模は約103億ドル(約1兆700億円)と評価され、2027年まで年平均成長率21.6%で成長すると予想されている。

 上記レポートは、コロナ禍のVR市場に対する影響にも言及している。コロナ禍によってソーシャルディスタンスを保つことが推奨されたことにより、期せずしてVR空間でのコミュニケーションが注目されるようになった。とくに教育業界では、VRを活用した遠隔トレーニング環境の開発が進められた。

 日本のVR市場に関しては、矢野経済研究所が(コロナ禍前の)2020年1月にレポートを発表している。そのレポートによると、日本におけるVRとAR、そして360°動画を合わせたXR・360°動画市場は2025年まで穏やかに成長し、2025年には約1兆2,000億円規模になると予想される(トップ画像参照)。

 矢野経済研究所のレポートでは、日本のXR・360°動画市場成長の要因として5Gの普及を挙げている。5Gが普及することにより大容量の通信が可能となる結果、様々なXRコンテンツが開発されると見込まれるのだ。

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