位置情報共有アプリ『Zenly』、10代の間でなぜ流行? 若者の“遊び文化”との相性を考える
『Zenly』とは、フランスのZenly社が開発した、リアルタイムで他人と位置情報を共有できるアプリである。10代の若者の間では、認知率が男性約4割、女性約5割と、約半数ほどの男女が『Zenly』を認知している(参考:https://note.com/sorechou/n/ndd069c8d0e3c)。
24時間他人と位置情報を共有するという、“プライベートを晒す”文化が、10代の若者の間で流行しているのはなぜか、『Zenly』の機能や利用方法などをふまえ考察していく。
まず第一に、『Zenly』を使えば待ち合わせに困ることがない。自身の現在地が正確に表示されるので、地図アプリのように使えば、出口がいくつもあるような複雑な駅や、初めての地での待ち合わせもスムーズに行える。遅刻をした人がいても、相手の場所を把握することができるので、あとどれくらい待つ必要があるかがわかり、待ち時間を有効に使うことができる。待ち合わせする者の連絡がない場合の心配もない。自宅を出る前に確認して、待ち合わせ場所から遠い者がまだ家を出ていない、出発して間もないことがわかれば、自宅を出る時間を調整することも可能だ。
このように“遊び“において、待ち合わせはつきもので、”遊び“だからこそ時間にルーズであることが多い。そんな若者の日常の”ちょっと困ること”を、解決してくれる便利な機能が『Zenly』にはあるのだ。
待ち合わせに限らず、予定していない相手と偶然に出会うことにも使われる。例えば、同じ渋谷のすぐ近くに友達がいることがわかれば、サッと会いに行くことができる。別々のバイト先でも、すぐ近くにいることがわかれば一緒に帰ることもできる。友人と遊んでいて、共通の友人を呼びたくなったときに、その友人がどこで何をしているかわかれば連絡も取りやすい。今いる場所に近いところにいる友達をすぐ探せるため、無駄な連絡を取らなくて済むのだ。
若者言葉で“場面で”というワードが流行ったように、若者はなんとなくで“遊び”などを決め、状況や気分によって考えが移ろいやすく、変化に対応するのが早い。こうした若者の、詳細を決めない待ち合わせ、予定していないところで友人と会う、急遽遊びに誘いたい、などのニーズに適応したからこそ『Zenly』は10代の若者に支持されるアプリとなったのではないか。