日本のPodcastシーンにスターは生まれるか? 日本と世界のPodcastランキングから見えてきたこと

日本と世界のPodcastランキング比較してみた

 ここで、2020年に世界で最も再生されたPodcast番組のランキングも見てみたい。

 1位の「The Joe Rogan Experience」は、Podcast司会者かつ格闘技コメンテーターのジョー・ローガンが2009年にスタートさせたPodcastで、海外のPodcastリスナーなら誰でも知っているといえるほど有名な番組だ。毎回さまざまなジャンルの業界から豪華なゲストを呼び、ジョー・ローガンとコミカルに対談を繰り広げていく。ジョー・ローガンは昨年、『Forbes』が発表した「世界で最も稼ぐPodcasterランキング」で1位に輝いた人物で、この番組は今年の5月19日に、Spotifyとの独占契約を締結し大きな話題になった(つまり、この番組はSpotifyでしか聴くことができない)。

 2位は日本でもランクインした「TED Talks Daily」だが、ワールドのランキングでは英語学習のためでなく、言語の苦労なく聴いているリスナーが大半なのではないだろうか。3位の「The Daily」は「The New York Times」が毎日配信しているニュース番組。ニュース系Podcastは国内外で、毎日最新の番組を配信するPodcastから、一つのトピックを専門家が深く掘り下げるタイプのPodcastまで、幅広く展開されている。日本ではまだ見られないが、海外ではアーティストが堂々と自身の政治的意見について述べるような番組も見受けられ、Podcastの受け口の広さを象徴している。

 そして4位の「The Michelle Obama Podcast」は、1位の独占契約とともに2020年のPodcast界を賑わせた、前アメリカ大統領バラク・オバマの婦人、ミシェル・オバマによるPodcast番組だ。オバマ夫妻は以前から文化面に強い関心があり、オバマ大統領は毎年お気に入り曲のプレイリストを公開することでも有名だが、元大統領の婦人が自身のPodcast番組を始めるというニュースには大勢の人が興味関心を持ったに違いない。他の番組と比較して配信回数が圧倒的に少ないにも関わらず、4位の座を奪った。

 5位の「Call Her Daddy」は、“美人”として知られるソフィアとアレックスが、性的な話題まで開けっ広げに話すことで話題になったPodcast番組。バレない浮気の仕方など大胆な内容には好き嫌いがはっきり分かれつつも、刺激的なトークで人気を拡大。色々内輪揉めして今はアレックス一人で番組を配信しているようだが、その話題性の高さからも5位まで上り詰めたようだ。

 株式会社オトナルが今年から、Apple PodcastsとGoogle Podcasts、Spotifyの3つの大手Podcastプラットフォームにおける日本の人気番組ランキングをリアルタイムに発表してくれる、「PODCAST RANKING」というWebページを開設した。このページの面白いところは、各プラットフォームで人気になっている番組の違いを、瞬時に比較できる点である。Apple PodcastsやGoogle Podcastsは「NHKラジオニュース」や「飯田浩司のOK! cozy up!」など、英会話系やニュース系が強いのに対し、SpotifyのPodcastで現在1位がロバートによる音声コント番組「秋山第一ビルヂング」だったり、3位が瞑想系Podcastの「瞑トレ」だったりと色味が強めだ。また、どのプラットフォームでも人気なのは「バイリンガルニュース」のようだ。

 今年最も聴かれたPodcast番組のランキングを発表したのはSpotifyだけで、Spotifyも今年初めて、毎年の振り返りランキングに「Podcastランキング」を追加したばかりだ。今後、Apple PodcastsやGoogle Podcastsその他のサービスにも、年間のPodcastランキングをさまざま発表するようになると、より面白くなりそうだ。

(画像はPRTimesより)

参考文献:
「THAT’S A WRAP The Trends That Shaped Streaming in 2020」
「スポティファイが100億円で「ポッドキャスト番組」と独占契約」
「The 'Call Her Daddy' Fanbase Has Turned on Alex Cooper」
「人気ポッドキャストCall Her Daddyが終了?…親友と仲間割れした原因はHBOの彼氏」

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