セレブとテック投資の関係ーーライアン・レイノルズに見る成功例

予算を抑えたオリジナルな戦略とは

 巨額な広告費を投じれば成功する、という保証は、あらゆるメディア形態が台頭する中でどんどん難しくなっている。実際、インターネットを除いた広告は低迷する中、企業のデジタルマーケティングにかける予算は年々増加している。それは、26%の企業マーケティング予算をオンライン媒体に費やしているという統計からも明らかだ。

 先のMint Mobileは、10 月の5Gネットワークリリースに合わせオンライン広告を公開した。ライアン・レイノルズがMint Mobileのテクノロジートップを招き、5Gについて説明してもらうが、あまりにも複雑で理解できないのでとりあえずみんなに無料で使ってもらおう、という、ユーモアを含んだ内容だ。

Understanding 5G

 ほかにもレイノルズ自身がファンを公言する『ゴーストバスターズ』出演俳優リック・モラニスを招いたエピソードや、レイノルズがMint Mobileユーザーに電話をして、折り返しで彼の留守電にレイノルズの出演映画で一番嫌いなものを答えてもらう様子を録音したものなど、ブランドとパーソナルな関係が見られ、これらの広告動画は全てレイノルズ自身のYouTubeチャンネルで公開されている。

 Mint Mobileとライアン・レイノルズのように、今後はセレブたちがブランドとどんな関係性を確立しているのかなといったパーソナルなストーリーのあるところにより多くの顧客が惹かれ、商品やサービス購入につながるという流れは、トレンドになってくるだろう。日本を含め、そういった価値観がより優位になっていくなかで、各企業がどのような広告手法を取るのかといったところにもより注目していきたい。

■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。

〈Source〉
https://topnotchessay.com/beats-by-dre-marketing-analysis/
https://techcrunch.com/2020/11/28/how-ryan-reynolds-and-mint-mobile-worked-without-becoming-the-joke/
https://www.crunchbase.com/organization/mint-mobile
https://techcrunch.com/2019/11/25/in-wake-of-sprint-t-mobile-deal-ryan-reynolds-has-an-announcement/
https://www.gartner.com/en/marketing/insights/articles/gartner-cmo-2020-2021-tech-digital-channels-withstand-budget-cuts
https://www.theverge.com/2014/10/9/6953207/lenovo-ashton-kutcher-yoga-tablet-2-pro-price-release-date

 

関連記事