ノトーリアス・B.I.G.からTravis Scottまで 脈々と続く「ラッパーとビデオゲームの歴史」
eスポーツとの繋がりも 加速していくクロスオーヴァーの未来
『GTA V』以降、ヒップホップとビデオゲームのクロスオーヴァーにおいて、最も話題となったのは間違いなく2020年4月に実施された『Fortnite』上でのイベント、Travis Scottの『Astronomical』だろう。それまで関心のなかった人々が一気に注目を集めるきっかけとなったこのイベントだが、このコラボレーションについても、この時初めて実施されたわけではない。このイベントの2年前、2018年3月にDrakeとTravisが人気ストリーマーのNinjaとチームを組んで同作をプレイする様子を配信し、延べ60万人以上の視聴者がそれを楽しむという出来事があったのである。元々Travis自身が本作の熱心なプレイヤーであったことから、やがて『Astronomical』へと繋がっていったのだ。
『Fortnite』を筆頭としたeスポーツシーンは、ラッパーのビジネス的にも注目される存在である。2018年10月にはDrakeとプロデューサーのScooter Braunが北アメリカのe-sportsチームである『100 Thieves』の共同オーナーとなったことでも話題となった。そこまでの規模まではいかなくとも、例えばPost MaloneやLil Yatchy、21 Savagesといった若手の人気ラッパー、更に冒頭でXbox型巨大冷蔵庫を手に入れたSnoop DoggやT-PainといったベテランもTwitchなどの配信プラットフォームを通してゲーム実況配信を行っており、「Black Spiderman」などで知られるLogicに至ってはラッパーとしてのキャリアを引退した直後にTwitchの専属パートナーに就任したことで世間に衝撃を与えている。
このような流れの背景には、彼らが単純にゲームが好きというだけではなく、現代におけるファンベースの構築方法とも関係があるだろう。SNSを中心にファンと交流することで人気を上げていく上で、ゲーム配信というのは一つの手段として非常に親和性が高い。コンスタントに楽曲を発表し、絶え間なくSNSで発信し続ける彼らは、ある意味インフルエンサー的であるとも言える。だからこそ、「ファンとの交流手段」として、現代のラッパーは更に深くビデオゲームと繋がりを持つようになったと考えることもできるだろう。
このような流れを踏まえると、冒頭で述べたようなコラボレーションはもはや必然的であると言える。ビデオゲームとヒップホップは相互に影響を与えあってきた存在であり、多くのラッパーが現代のビデオゲームを楽しんでいるし、ビデオゲーム側もまた、ヒップホップ・カルチャーが持つ格好良さをゲームの世界観に取り入れたいと考えている。Travis ScottがどのようにPlaystationと関わっていくのか、その全貌はまだ明らかになっていないが、今後は単なるコラボレーションというレベルではない、より深いレベルでのクロスオーヴァーが進んでいくのではないだろうか。
■ノイ村
海外のポップ/ダンスミュージックを中心に愛聴。普段は一般企業に勤めているが、SNSやブログにおけるシーン全体を俯瞰する視点などが評価され、2019年よりライターとしての活動を開始。
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