Apple税「15%引き下げ」に隠された“意図”とは?

批判をかわすためのイメージ戦略?

 中小デベロッパとアプリユーザに恩恵をもたらすと見られるApp Store Small Business Programを批判する声もある。US版TechCrunchは19日、“フォートナイトの乱”でAppleと係争中のEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOの同プログラムへの反応を報じた

 同CEOは、Appleは同プログラムを発表することによって、市場競争を阻害しているうえにアプリ内課金から30%のApple税を徴収していることに対する批判を斥けることを望んでいるに過ぎない、と批判している。

 以上のような同CEOの批判は、まったく根拠がないわけではない。New Nork Times紙が報じたところによると、同プログラムが適用されるのはApp Storeに関係するデベロッパの約98%であるが、これらのデベロッパが生み出す収益はApp Store全体の収益の5%未満に過ぎない。App Storeの収益のほとんどは、同プログラムが適用されないわずか2%の大手デベロッパが稼ぎ出すのだ。こうした事実から言えるのは、同プログラム施行によるApp Store収益への影響は軽微であり、同プログラムの本当の狙いはアメリカ下院反トラスト小委員会によって独占禁止法違反の嫌疑がかけられているAppleのイメージを改善するためではないか、ということである。

 既報のようにバイデン氏が正式にアメリカ大統領に就任した場合、Appleを含む大手テック企業は独占禁止法違反をめぐって厳しい立場に立たされると予想されているし、来年7月には“フォートナイトの乱”に関する陪審裁判が控えている。こうしたなか、App Store Small Business Programの発表によって好印象を抱いてほしいとAppleが考えていても不思議ではないだろう。

トップ画像出典:Appleプレスリリース「Apple、App Store Small Business Programを発表」より画像を抜粋

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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