AppleがApp Storeから2,500以上の中国製ゲーム排除 取り締まり強化のねらいは?
中国は全世界のApp Storeのゲーム市場収益33%を占めながらも、同時に中国政府によって想像以上に厳しい規制や、認可までの長いプロセスを課せられている。
中国モバイルゲームの現状
市場にリリースされ収益を目的としたゲームはすべて中国政府機関であり、出版やメディアを監督する「国家新聞出版広電総局」によって認可されなければいけない。しかしこれらの許可が通るまでに数ヶ月、または政府の都合によるフリーズ期間など膨大な時間がかかることから、多くのゲームクリエーターは認可を得ないままマーケットでそれぞれのゲームを発表し、許可を待つという態勢を取っており、今まではそれがApp Storeでは可能だった。
世界がインターネットで繋がる中、中国では通信や特定のコンテンツ、アプリへのアクセス制限を徹底したインターネット検閲システム「グレート・ファイヤーウォール」が全土に敷かれている。例えば、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、新しく制限項目に新型コロナの発生地とされる「武漢」や「湖北」などが含まれた。これらのワードは特定のユーザーからしか見られない状態になっているが、ネット市民たちははアルファベットの頭文字をとったり、違った文字を代替として置くなど、それぞれ工夫を凝らし、検閲に引っかからない表現方法を模索している。
認可基準は?
これらの検閲の厳しい中国では、ゲームアプリに関してもある程度の基準を満たすことが要求される。ゲーム界においても2018年、認可機関の再編を受け、審査基準も一新された。主な禁止項目としては「ポルノ、ギャンブル、過激な暴力シーン、そして政府の提示する歴史的事実にに反するもの、特に歴史などの書き換えに関するもの」などが挙げられる。
また、政府は未成年の前述のようのなコンテンツへのアクセスや子供たちへのゲーム全般への様々な影響を懸念しており、ゲームによる視力低下の子供達の増加に関する指摘などの動きもあったことから、今回の基準には新しく「時間制限」なども導入された。これらの基準はある程度明確に示されており、よりテーマ性やコンテンツに注目したものとなっている。
Appleと中国市場の取り締まり
今回、Appleがとった動きは、この政府認可の証明を中国App Store自体の基準として設置することによって、より厳しく無認可のゲームを市場から排除していくものだ。すでにAndroidのアプリストアでは、2016年にこれら政府基準がアプリストアの条件として導入されていたが、Appleには長らくループホールがあり、これらの実施を避けてきた。
今年2月にアップルは6月30日という期限までに政府から発行される承認番号を登録するようにと呼びかけ、それに対応できなかったアプリはすべてApp Storeから排除すると発表。期限が開けた翌週の7月頭には、基準を満たさなかった2500以上ものゲームアプリがApp Storeから排除された。現在、中国のApp Storeマーケットには6万ものゲームがあるが、その1/3は無認可であると言われている。