iPhone開発の担当者がAppleのカメラ戦略を明かす 「規模の大きさ」が強み?

 iPhone 12シリーズは、4モデル全てがリリースされた。カメラの進化も注目されているが、その開発に携わったAppleの担当者が、カメラに対するAppleの取り組みや哲学について大いに語った。

スマートHDRでナイトモードが向上

 『PetaPixel』とのインタビューで、AppleのiPhoneプロダクトライン・マネージャーであるFrancesca Sweet氏は、スマートHDRで構築されたナイトモードにより、特に低照度の写真で強みを発揮すると説明する。「改良された画像融合アルゴリズムにより、ノイズが減少し、ディテールをとらえ、夜間のモーションフリーズが向上します」(参考:https://petapixel.com/2020/11/09/apple-reveals-its-design-philosophy-behind-the-iphone-camera/)。

システム全体を開発し、魔法のような革新が可能

 カメラ・ソフトウェア・エンジニアリング部門のバイスプレジデントであるJon McCormack氏は「写真家が考えなければならない多くのことを可能な限り再現し、人々がその瞬間にぱっと素晴らしい写真を撮って、すぐにべつのことに戻れることを目指しています。実際にどのようなものであったかを再現するために、より現実に近い写真をつくることが目標です」と述べる。

 Appleは機械学習を使用してシーンをより理解しやすい部分に分解することで、これを実現しているという。「背景、前景、目、唇、髪の毛、肌、衣類、空。 これらすべてを個別に処理し調整を行います。露出、コントラスト、彩度等、全てを調整して組み合わせます」と続ける。

 また、空は本当に撮影が難しいことが知られているが「Smart HDR 3を使用して空をセグメント化し、完全に別々に処理し、それをブレンドして実際の様子をより忠実に再現」している。レストランやバーも困難な環境だとし「食べ物がどのように見えるかを理解し、それに応じて色と彩度をより忠実に最適化」しているという。

 McCormack氏は、Appleはシステム全体を開発しているため、プロセスを部分的に扱っている場合とは異なる見方をしていると強調。「単一の軸で考える傾向はありません。これにより魔法のようなことが起こります。レンズからGPUやCPUまで全てを設計しているので、実際に革新を起こすことがができるところが多くあります」と語った。

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