ピース又吉のYouTubeチャンネル「渦」はなぜ面白い? 視聴者放置のシュールな企画に注目

 初回の動画で、山に顔を作りたい理由が明かされるのだが、独特な考え方ゆえにスタッフやメンバーを困惑させてしまう。それはおそらく多くの視聴者も同じで、誰もが困惑する不思議な状況が生まれるのだ。そうした状況にもかかわらず、2回目ですぐに顔の材料となる石を探す作業が始まってしまうのだから、我々は容赦なく置いてけぼりを食らうことになる。一体この状況は何なのか、自分は何を見ているのか、そんな理解不能さに視聴者は面白さを感じてしまうのかもしれない。

小説「人間」幻のラストシーン【#1 山に海を見せたい】

 これまで多くのお笑い芸人が自分たちのやりたいことをYouTubeで表現してきた。やりたいこと、好きなことを表現するときの高い熱量が面白さを生む。「渦」は、理解しにくいけれど何となく分かる、絶妙な笑いを私たちに提供してくれる。難解だけれど面白い、このスタイルでまだ見ぬ笑いを見せてくれるのを期待したい。彼らが作り出す笑いは予測不可能だ。

■綾あおい
ライター/コラムニスト。95年生まれ。カルチャー、エンタメの動向と魅力を追う。YouTubeとVODを中心に執筆中。
Twitter:@ayaaoi_ao

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