iPhone 12はiPhone 12 Maxから生産開始? 5G iPhone全体の4割を占めるか

 今秋リリースされる初の5G搭載となるiPhone 12の生産状況が、かなり詳細まで見えてきた。

コロナ禍で生産工程に変更

 Appleは、iPhone 12用のコンポーネントを最大8000万台分発注したと『Nikkei Asian Review』が報じている(参考:https://asia.nikkei.com/Business/Technology/Apple-to-start-producing-first-5G-iPhones-in-mid-September)。

 2020年内の生産台数は7,300万〜7,400万台で、残りは2021年初頭に延期されるという。

 生産は限定的な規模で始まり、9月末から10月上旬にかけて徐々に量産が始まる予定だ。この日程は、例年9月にリリースするラインナップを8月に量産開始するAppleの通常のスケジュールよりも遅れているが、数カ月前の状況と比較すると大幅に改善されていると、詳しい情報筋は述べているという。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威が吹き荒れた今年は、生産工程に変更もみられた。それにより、数カ月の遅れになりそうなところを、数週間の遅れに留めることができた。

 例年であれば、量産の準備段階でのエンジニアリング上の問題を解決するために製造現場にAppleのスタッフを派遣していたが、コロナ禍で移動に制限がかかり、Appleはこの作業をリモートで行い、全てのサプライヤーに最終サンプルを米国に空輸させて、そこでリードデザイナーやエンジニアがサンプルを承認するかたちをとった。

一部の最終組立は10月上旬から?

 サプライチェーン関係者は「一部のモデルの最終組立は、10月上旬になる予定ですが、できるだけ早く生産するように努めています」と述べる。

 ある関係者は「生産ラインは、1つずつ量産体制に入ります。10月の初め頃に大量生産の規模が大きくなるでしょう」と語る。

 5G iPhoneの生産は、6.1インチOLED画面と2つの背面カメラを備えた低価格のバージョン、すなわち「iPhone 12 Max」から始まるそうだ。このモデルは、Appleが発注した5G iPhoneのおよそ4割を占めているという。

5G iPhoneに賭けるApple

 GF SecuritiesのアナリストであるJeff Pu氏は、Appleは5G iPhoneで売り上げを伸ばすことに賭けていると分析している。「COVID-19の年にもかかわらず、Appleはサプライチェーンに比較的健全な発注をしており、最終的な生産に大きな混乱は見られません。遅延は現時点では、対処できる範囲内のようです」

 AppleのiPhoneのセールスは今秋、全ての5Gモデルが展開されて押し上げられ、2020年は1億9千万台、2021年には2億1500万台に達するとJeff Pu氏は予測している。

 スマホ市場が軒並み落ち込む中、今年4月に399ドルという廉価で発売されたiPhone SE(第2世代)は、AppleのiPhoneの出荷台数を、4月から6月までの四半期に前年比11.2%増加させ、パンデミックのさ中で販売台数が増加した唯一のスマートフォンメーカーになった。

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