Unreal Engineは建築・自動車分野でも活躍 リアルタイムビジュアライゼーション向けの機能とは?

Unreal Engineは建築・自動車分野でも活躍 リアルタイムビジュアライゼーション向けの機能とは?

共同作業・ライブラリー・レンダリングなどに関する機能

 UEは主要なVRHMD、WindowsMRデバイスにも対応。加えてオープンXRやリモートレンダリングもサポートしているため、新しいデバイスに対しても柔軟に対応できるようになった。昨年リリースしたバージョン4.23から、HoloLens 2がネイテイブ対応した。

 共同作業について役立つ機能としては、複数人でUEのテンプレートをレビューできるCollaborative Viewer機能が用意されている。新しい機能を作成する画面でCollaborative Viewerを選び、レビューしたいデータをインポートした後、パッケージ化を行って起動する。Collaborative Viewerテンプレートにはオブジェクトの選択・移動・X-Ray表示・2点間の距離の計測・メモ書き・画像保存などの機能がブループリント(UEのスクリプト言語)として用意されているため、カスタマイズも簡単に行える(VR機器がつながっていれば、VRモードで利用できる)。

 また複数人で同一プロジェクトを同時に編集できるマルチユーザー編集機能もある。ユーザー2人が同一のプロジェクトを開いている状態で、1人がデータを更新して保存すると、もう1人のデータも更新される。同時に2人が作業している状態では、お互いのビューポートに、その状況が反映される。

 Pixel Streamingはクラウドサーバ上でUEのコンテンツを動作させて、それを利用するユーザーがPC、タブレット、スマホのブラウザ経由でインタラクティブコンテンツを操作できる機能。ユーザー側の端末にコンテンツをダウンロードする必要もない。

 自動車用のライブラリーとして提供してきたAutomotive Matereal Packを、今年の3月にリニューアルした。それに伴い、10程度の新しいマテリアルを追加したり、レイトレーシングにも対応(マーケットプレイスで提供しているアセットには、非常にクオリティの高いものもある)。

 Twinmotionのマテリアルをベースとしたライブラリーは、特に建築ビジュアライゼーションの活用では有効(昨年11月にEPICの傘下にQuixelが入り、同社ライブラリーのMagascansがUEやTwinmotionで利用する場合は無料となった)。

 レンダリングに関しては、これまでGPUのメモリが足りない場合、高解像度で行うのが難しかった。現バージョンで搭載されたHigh Quality Media Export機能を使うと、GPUのメモリが小さい場合でも、画面をタイル状に分割することで高解像度の出力ができるようになった。


 Hair&Far機能では、ストランドベースのレンダリングおよびシミュレーションが行える。現バージョンではワークフロー、パフォーマンス、ライティングなどに対して少なからず改善。髪の毛のシミュレーションとレンダリングでは、レイトレーシング機能を使った場合を含め、全体的な安定性と速度が向上している。

■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「激変!アニメーション環境 平成30年史+1」(著書)など。

CEDEC2020
ノンゲーム分野におけるUnreal Engineの活用について〜建築/自動車/映像等の分野での事例、UE4/Twinmotion最新情報〜
Unreal Engine

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