Facebookがついに政治広告を制限 米大統領選の投票1週間前より

 米ソーシャルメディア大手のFacebookは、アメリカ大統領選の投票までの1週間、政治広告を制限する方針を発表した。

「悪しき言動への最善策は、より多くの意見」という主張も

 FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、今回の方針決定が、過去4年間の選挙運動の教訓、投票権の専門家や公民権の監査人とのやり取りを反映しているとし、投稿でその詳細について説明している。

「COVID-19の影響により、選挙結果が確定するまでに数日または数週間かかる可能性があるため、全米で市民の不安が高まる可能性があるのではないかと心配です。今回の選挙は、以前とは違い、皆に民主主義を守る責任があります。投票を支援し、今回の選挙の混乱を解消し、暴力と社会不安の可能性を減らす措置を講じます」

The US elections are just two months away, and with Covid-19 affecting communities across the country, I'm concerned...

Mark Zuckerbergさんの投稿 2020年9月3日木曜日

 具体的には、投票情報センターの信頼できる情報を、選挙までFacebookとInstagramの最上部に配置。投票の1週間前から新たな政治広告の出稿を停止するという。

 それでもTwitterなど、政治広告を原則禁止とする他のソーシャルメディアと比べると、ゆるい対応に映るが、ザッカーバーグ氏は「良からぬ言動への最善策は、より多くの意見だと信じている」と主張。しかし「選挙直前に飛び出した意見には、反論する時間がない」とし、今回の制限を行うに至ったという。

 一方で、広告主は、最終週になる前までに掲載を開始した広告については、引き続き掲載が可能だという。これらの広告は公開され、信憑性を誰でも精査できる。

 また、投票に関する誤った情報や、COVID-19を根拠に投票を阻止するような投稿は削除の対象になるとした。

 誤った情報が大規模に拡散されるのを防ぐために、Messengerでは、1つのメッセージにつき、転送できるのは5カ所までに制限する。Facebook傘下のWhatsAppでは、すでに実装されており、効果が証明されているという。

 投票結果の集計中は、議論が非常に白熱する可能性があるため、投票終了後の数日~数週間は、ロイター等と協力し、投票情報センターで情報を提供、候補者が勇み足で勝利宣言を行うような場合は、ラベルを付けて注意を促す方針だ。

骨抜きな内容? 効果に懐疑的なメディアも

 「Facebookは米国の選挙の1週間前に一部の広告を制限するが、政治家は嘘の広告を掲載し続けられる」と『CNN』は見出しを打っている(参考:https://edition.cnn.com/2020/09/03/tech/facebook-political-ads-election/index.html)。

 今回の処置は、一時的な制限であり、選挙後には解除される、と同メディアは、骨抜きな内容を指摘している。一方で、Facebookは、言論の自由を尊重するために、過度の介入を行わないように配慮するという立場をとっている。

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