『フォートナイト』、MARVELと大型コラボした新シーズン開幕 その裏では"フォートナイトの乱"に暗い影が...…

Appleが勝つだろう、だが問題は...…

 大型コラボの実現で盛り上がる一方で、Epic Gamesは新シーズン開幕前の26日、iOSとmacOSを使っているプレイヤーは新シーズンがプレイできないことを発表した。プレイできない原因は、フォートナイトの乱の影響だ。予想できたことであるとは言え、フォートナイトはコミュニティの一部を失ったことになる。

 フォートナイトの乱に関して、ニューヨークタイムズ紙から「あらゆる論題に関する分析についてもっとも興味深い情報源のひとつ」と絶賛されるテクノロジー批評家のBen Thompson氏が「App Storeの再考」と題された考察記事を発表した。同氏はAppleとMicrosoftでの勤務経験があると同時に、MBAも取得しているテックとビジネスの両分野におけるエキスパートだ。

 同氏は、フォートナイトの乱に関して、もし勝者を選ばなければならないとしたらEpicを選ぶ、と述べる。その理由は、Appleは素晴らしい企業であるが、発明とイノベーションを独占すべきではないから、と語る。

 続けて同氏は、しかしながら、今回の争いではAppleが勝利するだろう、とも述べる。というのも、現行の法律ではAppleの市場独占を認定することができないからだ。それでは、Epicの挑戦は道半ばにして潰えることが運命づけれているのか。

 フォートナイトの乱に関して、最大の問題はApp Storeのような市場独占が疑われるデジタルプラットフォームを規制する法律がないことにある。この争いをきっかけにして、現状にあった新しい法律を作るべきなのだ、と同氏は主張する。

 また、同氏はApp Store Reviewガイドラインにおける問題ありと思われる箇所を指摘している。その箇所は、App Storeの外部での取引について定めた以下のようなところだ。

「3.1.5(a)Appの外部で使用する商品やサービス:ユーザーがAppの外部で使用する商品やサービスをAppで購入できるようにする場合、そうした商品の支払いにはApp内課金以外(Apple Payやクレジットカードなど)の方法を使用する必要があります」

 以上の規定に従えば、例えばAmazonアプリで物理的な商品を購入した場合、プラットフォーム使用料を回避できるが、V-Bucksのようなアプリ内で消費する商品の取引ではプラットフォーム使用料を回避できないことになる。この規定に見られるようなフィジカルなコンテンツとデジタルコンテンツで扱いが異なる理由について質問された場合、Appleは法的に合理的な理由を説明しなければならないだろう。

 Epic Gamesは、フォートナイトを同社が目指しているであろう様々な文化がクロスオーバーするメタバースにする道を着実に歩んでいる。そんな道と同時に、現実世界における法的争いから一歩も退かないことを選択した。この法的争いには、現行の法制度の改革をうながすほどのものが賭けられているのかも知れない。

トップ画像出典:フォートナイト公式ニュース「フォートナイト チャプター2シーズン4」より画像を抜粋

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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