台湾が激化するテック戦争の新たな火種に? 半導体開発市場は米中関係の狭間で揺れる

 激化する半導体開発戦争において、ますます台湾企業が存在感を増している。米中の関係が急速に冷え込むなか、半導体事業における台湾のリーディングカンパニー、「TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)」は、両国との関係維持に奔走しているようだ。

 『CSS』の記事によると、世界的に見ても、高度な半導体チップ(本記事ではサイズが7nm以下のもの)を製造できるのは、インテル、サムスン、そして「TSMC」の3社のみだという。サイズが小さいほど高度なチップとされ、より多くの情報を処理することができる。

 7月には、インテルが7nmチップ製造の大幅な遅れを発表。社外リソースへの製造委託を示唆すると、「TSMC」の株価は急騰し、市場での優位性を示すこととなった。しかし、米国のシンクタンク、「アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所」を訪問したブレット・スワンソン氏は、「インテルは長年半導体製造の最先端をいく企業であり、心配はない。すぐに7nmのチップを商業レベルで製造できるようになるだろう」と語っている。

 それでも、「TSMC」はすでに7nmチップの製造に成功しており、世界的なサプライヤーとしての地位を確立しているため、米中間の緊張が高まる昨今において非常に重要な役割を担うこととなった。技術開発戦争が激化するなかで、両国は「TSMC」とパートナーシップを結び、AIや5G、クラウドコンピューティングといったテクノロジーの開発にしのぎを削っている。

 「TSMC」は、両国との関係を維持するために多額の資金を投入。今年初めには、2024年までにアリゾナ州に5nmのチップを生産する、120億ドル規模の製造施設を建設すると発表した。これは、軍事または機密性の高い民間事業に使用されるチップのサプライチェーンを確保したいトランプ政権にとって、大きなアドバンテージと言えるだろう。

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