インタビュー連載『ゲーム実況のふるさと』
M.S.S Projectが語る“アフター・コロナのゲーム実況” 「ネットで繋がれることをポジティブに捉えたい」
人気ゲーム実況者の原点を探る、インタビュー連載「ゲーム実況のふるさと」。今回は特別編として、話題のスマートフォン向け新作RPG『セイクリッドブレイド』のリリースを記念した、YouTube/ニコニコ生放送での公式番組に出演した、人気ゲーム実況集団であり、アーティストでもあるM.S.S Projectを直撃。新型コロナウイルスの影響を鑑み、リモートでの画期的なゲーム実況番組をいつものように楽しく盛り上げた4人に、ゲーム実況の魅力から、コロナ禍で考えたこと、「ニコ生」というプラットフォームへの思い、活動で大切にしているモットーから今後の目標まで、じっくり話を聞いた。(編集部)
※インタビューの最後に、M.S.S Projectからのメッセージ動画あり。
■これまでのゲーム実況者インタビュー
加藤純一×もこう「ゲーム実況中なら死んでもいい」
倭寇(わこう)×えふやん「企画は思い浮かんだ瞬間がピーク」
セピア「ゲーム実況は“思いの共有“」
テラゾー「ゲーム実況は“人間観察”好きがハマるコンテンツ」
茸(たけ)「観てほしい以上に、動画を作ってほしい」
「ゲーム実況には“食べ物”くらいの選択肢がある」(FB777)
ーー『セイクリッドブレイド』(セイブレ)リリース記念公式生放送、おつかれさまでした。リモートでゲストも含めた出演者の皆さんをつなぐ、画期的なゲーム実況番組になりましたが、感触はどうでしたか?
FB777:僕らがリモートでゲーム画面をそれぞれ映して、ここまで画面をたくさん分割した放送は、これまでなかったですよね(笑)。でも、しっかり番組として成立していましたし、観ていた皆さんも含めて、「こういうことができるんだ」と、新たな発見ができたんじゃないかなと。
KIKKUN-MK-II:ネット上でやりとりしながらゲームをする、というのは、僕らが初期にずっとやっていたことですし、逆に昔に戻ったような感覚もありましたね。あらためて考えると、こういう形なら、これまで同じスタジオに来ないとコラボできなかった人たちともご一緒できるようになるかもしれないし、ネット上でみんなが繋がっていられる、という感覚は楽しいなって。これなら、例えば離島にいてもゲーム実況番組に参加できるじゃないですか(笑)。そういうふうにポジティブに捉えたいですね。
あろまほっと:そうそう。新型コロナウイルスの影響で、世界中の人が家に閉じこもっていなければいけない状況になって、そのことが、働き方の改革を何歩も進めた、ということも言われていますよね。必ずしも同じ空間にいなくても、仕事も、こうやってゲームで遊ぶこともできる。それが証明されたので、これまでただ慣習として続いていた不要な手順はスキップして、もっと合理的に、やるべきことを追求できるようになっていけばいいなと思います。
eoheoh:とはいえ、今回は初めてのリモート配信だったので、ちゃんとできるかどうか不安だったんですよ。実際にやってみて、「実際に会わなくても楽しい配信ができるんだ」ということがわかってホッとしました。観てくれている皆さんも新鮮に感じてよろこんでくれていたし、アリなんだなと。
ーーしかもプレイしたタイトルが、ライトに楽しめるだけでなく、ストーリーもパズルの内容も骨太な『セイブレ』という作品でした。
FB777:本当に面白いゲームですね。いまのソーシャルゲームって、“できるだけ簡単にしよう”というものが多いと思うんですけど、『セイブレ』は頭を使った方がきちんと有利になるので、プレイするたびに発見があって、もっと遊びたくなるというか。ちょっと難しいな、というときは、プレイ動画を見て研究してみるのもいいかもしれません。
KIKKUN-MK-II:パズルとRPGの要素がガッツリと組み合わさっている感じが良かったですね。パズルで“チェイン”が繋がった回数で状況が変わったり、気が抜けないし、自分でストーリーを切り開いていく感じも楽しくて。
あろまほっと:見た目はカジュアルな感じなんですけど、実際にプレイするとパズル要素が強くて骨があるし、プレイスタイルによって攻略難易度が変わってくるので、やり応えがありますね。
eoheoh:序盤でも、ちゃんと考えてプレイしないとやられてしまいますからね。生放送だとストーリーモードしかプレイしなかったので、クエストとか、レイドとか、まだやっていないモードも楽しみです。
ーーさて、今回はYouTubeとニコニコ生放送の同時配信となり、ニコ生公式への登場は1年半ぶりとなりました。YouTubeにはYouTubeの素晴らしさがありますが、ニコ生というプラットフォームでの配信には、また別の面白さがありますね。
FB777:そうですね。リアルタイムでの視聴者さんとのやりとりという意味では、やっぱりニコ生は強いです。コメントが流れてきて、それに反応して、というやりとりがやっぱり楽しいし、それが一番の魅力だなと思いますね。
KIKKUN-MK-II:YouTubeとニコ生では視聴者層も違って、いまも“ニコ生のノリ”みたいなものが残っているのが嬉しいですね。いまはYouTubeでの配信が多くなっていますけど、やっぱりニコ生のコメントとのやりとりには刺激をもらえます。
あろまほっと:ニコ生には、他のプラットフォームにはない“一体感”がありますよね。コメントが見やすくて、コミュニケーションという意味ではこれ以上ない、素晴らしい、唯一無二のプラットフォームだと思います!
FB777:あろま! お前なんか狙ってるだろ!(笑)
eoheoh:もともとずっとニコ生でやってきたので、コメントの表示方式にも慣れているし、ホッとしますよね。みんなが盛り上がっている感じも視覚的にわかるし、やっぱり楽しいです。
ーー外出自粛が続いてきたなかで、配信プラットフォームを通じてゲーム実況を楽しむようになった人も少なくないと思います。これまで何万回も聞かれてきた質問だと思うのですが、皆さんにとってゲーム実況の魅力とは?
FB777:ゲーム実況って、「いかにそのゲームが面白いか」ということを伝えるものでもあると思うんですけど、その方法は本当に無数にあるんですよね。ゲーム実況をする人は増え続けていますし、それぞれにスタイルがあるので、“好きな食べ物を選ぶ”くらいの自由な感覚で、動画や配信を観ている人が多いんじゃないかなと。好きなものを選んで、それでゲームが楽しいと思えたら最高だね、という感じで、その多様性自体が魅力になってきていると思います。
ーー確かに、「ゲーム実況が好き」という言葉も、「テレビが好き」に近い、広い意味になってきたかもしれません。
FB777:そうなんですよ。テレビに例えるなら、「どの番組が好き?」と掘り下げられるくらい、いまは選択肢があるので。
ーーKIKKUNさんはいかがですか?
KIKKUN-MK-II:そうですね。いま僕が考えたんですけど、ゲーム実況を例えるなら、“食べ物”というか……。
一同:はははは(笑)。
FB777:思いもつかなかったな(笑)。
KIKKUN-MK-II:ラーメンにしようか(笑)。ラーメンって、本当に細分化されているし、一人実況=ラーメンだけで物足りない人は、そこに僕らみたいにチャーハンを足したり、ギョーザを足したりすればいいわけで。観る方も好き勝手やってよくて、本当に自由度が高いものだと思いますね。ゲームへの気持ちもそれぞれで、その作品が本当に好きな人もいれば、やりたくないけどやってみる、という人もいて。ただただ自由、荒野ですね。
あろまほっと:ゲーム実況は日本に限らず、世界中でいろんな人たちがやっていて、それによっていろんなスタイルがあるわけじゃないですか。スーパープレイがあったり、解説があったり、字幕だけの動画もあったり。……例えてみると、“料理”みたいな感じなんですよ。カレーだって、日本のカレーもあれば、アジアンカレー、本場のインドカレーといろんなタイプがあって、トッピングもたくさんありますよね。
一同:はははは(笑)。
あろまほっと:真面目にいうと、最高の暇つぶしですかね。映画だと集中して見なければいけないけれど、ゲーム実況は“ながら”でも楽しめますしね。
eoheoh:……好きな料理を食べてください(笑)。必ず自分が好きな動画はあると思うので、いろんな実況者を観て、自分に合う人を見つけてほしいですね。