ゲーム実況者・加藤純一×もこう対談 「ゲーム実況中なら死んでもいい」

ゲーム実況者・加藤純一×もこう対談

 ゲーム実況界で尖った存在感を示し続ける、加藤純一(うんこちゃん)&もこう。彼らが出演している、長時間生放送「クリアするまで帰らない生放送」シリーズが好評だ。二人はこの過酷な企画をどう捉え、ゲーム実況者としてのお互いをどう評価しているのか。2月22日、新作の発売が迫る『仁王』のプレイを控えた二人に、『仁王2』への期待から、二人が育ったniconicoというプラットフォームへの思いまで、じっくりと話を聞いた。(編集部)

「やっぱりプレイ“でも”魅せたいですよ」(もこう)

ーー配信の体力がすさまじいコンビとはいえ、数十時間に及ぶ「クリアするまで帰らない生放送」シリーズはかなりハードな企画だと思います。率直に、この企画をどう捉えていますか?

加藤純一(以下、加藤):二人とも全然人気がないときから知り合いなんですけど、幸いなことに、最近ちょっとずつ知ってもらえるようになって。そのなかで、こういう過酷な企画があると、底辺だったときの自分を思い出させてくれるというか(笑)。

ーーお二人とも、尖った企画ですぐに人気者になったイメージもありますが。

加藤:いやいや、そんなことないですよ。今でこそこんなに素敵な場を用意していただいて幸せに放送してますけど、昔はペラッペラの座布団の上でやらされてましたからね(笑)。

もこう:もともと“企業公認”みたいなところから程遠い二人ですし。

加藤:そういう頃のハングリー精神みたいなものが呼び起こされるので、ずっと続けていきたいなと思いますし、時折、原点に帰る企画という位置付けでやらせていただいてます。あ、でも半年に一回くらいでいいですよ。初心を忘れた頃にしてください。


ーーもこうさんはどうですか?

もこう:僕は加藤さんとこういう場で長時間やらせていただく度に、活動のモチベーションが上がるんですよね。僕、普通にやっているとどうしてもゲームの悪口とか、ふてくされたりとか、そういうところが出ちゃうんですよ。

加藤:「ゲームの悪口」って、すげえ堂々と言ったな(笑)。

もこう:その点、加藤さんは実況のテンションがずっと落ちないので、そういうところを見ていると「自分もどうにかクリアまでやってやる!」って、ポジティブな思考になっていくというか。そうやって鍛えてもらっている感覚もありますし、『DARK SOULS』とか、今回の『仁王』もそうですけど、これまで自分がプレイしてこなかった名作シリーズに触れられるのもありがたいですね。

ーーただ、もこうさんの少し後ろ向きになってしまう部分も含めて、二人のバランスで放送が面白くなっていますよね。

加藤:そうなんですよ。本当にゲームに熱中していたら、ただ「面白いですね」みたいな業務的な発言って出てこないじゃないですか。苦戦すれば“プロデューサー憎し”みたいになるし、本気で熱中しているときは「こんな罠を作って、どんだけ性格悪いんだよ!」みたいな魂の叫びが出てくるんですよ(笑)。もこうはそれが出るから、しっかりゲームに取り組んでいるんだな、と思いますね。もしかしたら、冒頭の説明のところでは「素晴らしいゲームですね」みたいな発言が出るかもしれないですけど、だんだんとそういう風になっていくと思います。


ーー今日は『仁王』のプレイ前にお話を伺っていますが、本作についてはどんな印象を持っていますか?

加藤:コーエー(現コーエーテクモゲームス)のゲームって、本当に小さい頃からやっていて、『戦国無双』や『三國無双』シリーズでキャラクターに馴染みがあるので、とっつきやすいなと。『仁王』は今日のためにとっておいたというか、プレイしたことがないんですけど、アクションがめちゃくちゃきれいだし、攻撃のバリエーションもすごい数あると。苦労させられる、という声も聞いていますし、楽しみですね。

もこう:『仁王2』の紹介映像を見ていても、グラフィックが本当にきれいだし、敵を倒すときの気持ちよさとか手応えが間違いなく味わえるだろうなって。

加藤:ひとつ思うんですけど、ゲームってプレイヤーがストレスなくクリアできる方が、一般的にはいいじゃないですか。どういう気持ちで難しいゲームを作るんですかね(笑)。理不尽すぎでクリアできなかったらダメだし、多分『仁王』もそうですけど、これまで「クリアするまで帰らない生放送」でプレイしてきたゲームはバランスが絶妙すぎて。すごい意地悪な人が作ってるのかな?(笑)

ーー確かに『DARK SOULS』あたりから、“死んで覚える”ことも織り込んだようなやり応えのあるタイトルが増えてきた気がします。

加藤:僕はそういうゲームがめちゃくちゃ好きになりましたね。

ーーそういう難しいゲームを長時間にわたって攻略していき、追い込まれる時間もあるなかでは、やはり隣にいる“相方”の存在は大きいですよね。

加藤:もこうは本当にめちゃくちゃするんで、心強いですね。「見せ場を作らなきゃ」って、意図的に変なプレイをしたり、あえて死んでみたりするのってサムいじゃないですか。われわれ、本当にゲームが下手くそなので、わざとだって疑われたりしますけどーー。

もこう:毎回言われるんですけど、本気でプレイした結果ですからね。

加藤:こいつ、クリアできなさすぎて、トイレに行くふりして攻略サイト見てましたからね。

もこう:今日は自力でやります(笑)。


ーー上手に進まないからこそ、クリアするときに大きな感動がありますね。サクサクプレイもいいですが、視聴者としては、やっぱり苦労する姿も見せてもらいたいというか。

加藤:そうなんですよね。ただ、本音を言うと僕らだって、スーパープレイを見せたいですよ。特にもこうはそうなんじゃないの?

もこう:僕は一応、他のタイトルですけど、プロゲーマーですから(※パズルゲーム『ぷよぷよ』のプロライセンス選手)。

加藤:あはははは、一勝もしてないくせに(笑)。

もこう:まあそうなんですけど(笑)。ゲーム実況動画に求められるものって、変わってきていると思うんですよ。昔はトークの面白さとかキャラクターで伸びていたのが、いまはプレイングスキルが求められるというか。そんななかで、今のスタイルでやらせていただいているのはありがたいんですけど、やっぱりプレイでも魅せたいですよ。この2~3年でそういう思いが強くなっていて、ただそれと反比例するようにゲームの腕前が落ちていくという……。

ーーゲーム実況以外の活動も増えていますからね(笑)。

加藤:辛いペヤング食ったりさ、限界を感じてるだろ(笑)。

もこう:それもありますけど、いいプレイをしたい、という気持ちは失ってないですよ!


ーーただ、攻略サイトがわりにプレイ動画を見るユーザーも増えているなかで、「上手じゃない」プレイでこれだけ多くの人を集めるのは、本当にすごいと思います。

加藤:考え方の違いかなと。僕、生放送にけっこう人がいっぱい来てくれる方だと思うんですけど、マイナスが大きければ大きいほど、プラスも大きくなるじゃないですか。「上手いプレイを見せよう」という人は多いし、僕もできればそうしたいですけど、「こいつどうなってんだよ」っていう下手くそなところから、「よくやった!」というところに持っていくほうが好きなので。だから、悪いところも全部見てほしいんですよね。もこうもそうじゃん、だからうまくいったときにみんなで喜べるというか。

もこう:ダメなところを見てるとイラッとする瞬間もあるし、だからこそいいシーンでカタルシスがちゃんと感じられる。加藤さんの配信を見ていると、言っていることがよくわかりますね。

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