「音のVR」はどのようにして“新たな音楽視聴体験”をもたらした? 開発者を直撃

「音のVR」開発者インタビュー

ーーコンテンツのありかたそのものが、技術によって変わり得るというのは面白いですね。こうして個々にフォーカスを当ててみられる前提条件ができると、パフォーマンスする側としてはより複雑なものが出しやすくなるのかもしれません。

堀内:そうですね。良い意味で表現を難しくすることはできると思います。大衆向けにプロが作ったコンテンツがテレビで、ユーザー側がコンテンツを発信できるようになったのがYouTubeだとすると、今度はユーザーがコンテンツを作ることそのものに入っていく時代になると思っていて、そうなってきたときのための技術をこれからも作っていきたいです。

ーーユーザー側がコントロールできるようになると満足度が高まりますよね。

堀内:だからこそ、コンテンツにもっと入り込める自由度を増やしていきたいです。大衆向けのコンテンツのうえで、好きな人にフォーカスするだけという風に一般化可能なので、カメラワークはお客様にやってもらおう、ということも近い将来出てきそうです。

ーー自分ごとにできるから、コンテンツへの思い入れが強まるということもあるでしょうし。

堀内:まさにそうですね。ミュージックビデオって、カメラワークは変わるけど音は変わらないじゃないですか。でも、それが変わるようになったり、ハプティック(触覚)が組み合わさることによってもっと没入感が高まるんじゃないか、ということも考えています。結果的には、それらを組み合わせることによって自分たちのキャリアをもっと使ってもらえるような面白いものを提供していきたいです。

ーー最後に、5Gの時代になったことで出来るようになったもの・作っていきたいものについても聞かせてください。

堀内:大容量はもちろん、技術者としては低遅延・多接続の技術に期待しています。「音のVR」はサーバーから片方向で配信していて、操作に応じて好きなように触ってもらうものですが、低遅延となってくると、その場で起きていることをライブ的に見てもらえるようになるのかなと。ライブ会場で端末をかざしても、ほぼ同時に見ることができるうえ、画面の中では違うことがリアルタイムで起こっている、ということも可能になりますし。多接続については、いろんなユーザーのアクションが一気にできるようになると、街そのものをバーチャル空間上に作ることができるんじゃないかと思っています。研究開発としては、低遅延・多接続になっていった将来に向けて、引き続き触覚などにもフォーカスした技術の弾込めをしているところです。

ーー五感の一つが新たに加わると、体験ベースではこれまでにない大きな変化があるんでしょうね。

堀内:ただ、ほかの五感ーーたとえば味覚は物理的になかなか難しいので、嗅覚で代用するようなイメージをしています。インクジェットプリンタみたいなイメージで匂いのもとを組み合わせる技術はすでにでてきているので、それを使ったりできますし。とはいえ、大衆向けにはその技術を実装するのはかなり先になるので、基本は視覚・聴覚に加えて触覚を使う技術が実装されていくと思います。

■関連リンク
音のVRウェブサイト
音のVRアプリ ダウンロードページ ※現在iOSのみ

 

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