『M 愛すべき人がいて』を彩るアーティストと音楽ーー浜崎あゆみや懐かしいあの楽曲など“秀逸な使い方”に注目

ドラマ『M』を彩る“音楽”に注目

 ドラマでは、渋谷センター街をアユが母と歩くシーンで小室哲哉と縁が深い、B’zのヒット曲「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」が街鳴りしていたことも聴き逃せない。さらに、カフェ・シーンでは店内BGMとして、篠原涼子 with t.komuro名義である「恋しさと せつなさと 心強さと」のカバーバージョンが流れていた。90年代を知る音楽ファンにとって、放映中に毎回どんな楽曲が“隠れキャラ風に”流れるかは楽しみなポイントだ。

 劇中、マサからアユへ連絡を取る際、“7回目の電話”というフレーズが出てきたことも興味深い。これは、浜崎あゆみのラブソング「Appeares」の歌詞とリンクする。〈初めての電話は受話器を持つ手が震えていた 2回目の電話はルスデンにメッセージが残っていた 7回目の電話で今から会おうよってそんなふつうの毎日の中始まった〉と歌われているのだ。いわゆる、わかる人にはわかる。そんな、ファン心をくすぐる演出は、今後“隠れミッキー”のごとくドラマの見所となりそうだ。

 浜崎あゆみ曲の注目は「SEASONS」、「Boys & Girls」はもちろん、アユが白のドレスで意味深にライブ歌唱した本作の主題歌となる「M」だろう。当時、浜崎は携帯電話の電話帳に愛する彼を“M”というイニシャルで登録をしていたと小説で明かしている。タイトルの真実の由来だ。さらに、ドラマ本編ではアユがマサの前ではじめて歌唱した小室曲、globe「DEPARTURES」は、会えそうで会えない2人を繋ぐ曲としてクライマックスを盛り上げる重要な役割を果たしていた。

 なお、ドラマ挿入歌として注目したいのが、90年代ダンスミュージックの礎を築いたクラブアンセム「CAN’T UNDO THIS!!」だ。avexの次世代アーティストであるBeverly、FAKY、FEMM、lol -エルオーエル-、Yup’in、安斉かれんがREVIVE 'EM ALL 2020名義で「CAN’T STOP THIS!!」としてカバーしている。本作のプロデューサーはmax matsuura(松浦勝人)。サビで〈Don’t Stop The Music〉ーーいわゆる新型コロナウイルス(COVID-19)以降エンタテインメントが危機的状況を迎えているなか、“音楽を止めるな”という今の時代に必要なメッセージが込められている。引き続き、現実へと通じる異色のフィクションドラマ『M 愛すべき人がいて』に注目したい。

■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) 
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジン、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。
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■番組概要
『M 愛すべき人がいて』
テレビ朝日系24局放送日程:毎週土曜よる11:15~0:05
ABEMA配信日時:毎週土曜よる0:05頃より配信開始
ABEMA URL

(C)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.

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