中川翔子や江頭2:50の実況動画も話題 『FF7』が時代を超え人々を魅了する理由は?
他方で『FF7』が時を超えて広く愛される理由を考えるならば、同作が持つ文化性にも触れておかなくてはならない。『FF7』の物語には勧善懲悪や愛といったありふれたシナリオのほか、いくつかの社会的メッセージも込められていた。
例えば、それは商業的・経済的恩恵を享受するために社会や環境を蔑ろにする神羅の存在であったり、自身のパーソナリティやアイデンティティと向き合っていく主要キャラクターの葛藤であったり、だ。このようなテーマは、20年以上が経過した現在でも私たちの生きる世界に横たわっている。ストライク世代はもちろん、後発のスピンオフ作品などを通じ、世代を超えて同タイトルに触れた層にとっても、時代遅れとならない普遍的な物語の存在が、『FF7』をゲーム史に残る作品としているのではないだろうか。こうしたメッセージを含む創作物は総じてアートと呼ばれ、カルチャーの一部となっていく。同作が持つ“文化性”もまた、人々を魅了する理由のひとつとなっているに違いない。
実は『FF7』はシリーズ史上最も売れたソフトではない。No.1の地位は、次作『FF8』に譲っている。しかし、一般に広く認められたタイトルの“次の”タイトルが商業的に成功するケースはカルチャー全般でよくあることだ。このことからも『FF7』がシリーズ全体、ひいてはゲームカルチャーにもたらした価値を考えられるだろう。
20年以上の時を超えてリメイクされた『FF7R』は、これからの時代に何を残していけるのか。その目撃者となる権利はゲームフリーク全員に与えられている。
■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro