バーチャルアーティスト・somuniaに訊く、創作活動の源泉と“音楽をやり続ける意味”
「自分の欲望の元にアニメ風のMVにしました」
ーーそれでは続いてMV制作を始めようと思ったのはなぜですか?
somunia:そもそも最初は、MVを投稿しようという気持ちがそんなにありませんでした。もし投稿するとしても、ちゃんと曲ごとに物語というか、1つのドラマがあるので、それを表現できる技術がある人にお願いしようと思って、ちょっと温存していたというか、出し惜しみしていました。それからFictyさんが活動のお手伝いをしてくださることになった時に、「MVを出しましょう」と言われて、どうしよう、と思いながらも踏み出しました。せっかく曲に対してこんなに自分が世界を描いているのに、それを表現しないと勿体ないと思って、部屋にあるパソコンで動画編集できるのを知って独学でやり始めました。
ーーMVを作る上で使っている機材やソフトは何を使っているんですか?
somunia:スタッフさんに「このソフトは使えるよ」って教えていただいた『After Effects』を使っています。
ーー作詞では、1つの短編小説を表現しているとおっしゃっていましたが、MV制作ではどのようなこだわりがありますか?
somunia:なるべく曲の世界観を伝えられるような構成にしたいと常に思っています。でも今まで出したMVは既存のイラストを組み合わせて、自分の技術の範囲内で作ってしまった節があって、もっとできたんじゃないかなと悔しい気持ちもあります。「twinkle night」を製作する際には、動画の素材がなかったので「自分でドット絵を打って動画にしてもいいですか?」と、nyankoさんとヤカさんに相談しながら作りました。
ーーsomuniaさんの作るMVは、独学で始めたとは思えないほどクオリティが高いですよね。もともとどんな映像を見て勉強をしていたんですか?
somunia:そんなにMVを見ていたわけではないですね。どちらかというとアニメを見ています(笑)。なので、よく見ているといえばアニメのOPとEDを……。「秘密のメリーゴーランド」のMVは、アニメの主題歌を歌いたいっていう自分の欲望の元にアニメ風のMVにして、既成事実を作りました(笑)。
ーー今まで作り上げたMVの中で、印象に残っているものはありますか?
somunia:「Connected World」が個人的に好きです。ゲーム風にしました。ゲームボーイという機械の独特な雰囲気が好きだからそれをイメージして。
ーー独学で始められたということで、どの作品も大変だったとは思うのですが、その中でもMV制作で1番苦労した作品はなんですか?
somunia:もっとやりたいことがあったのに自分の力不足でできなかった、みたいなニュアンスで言うと、「Rewind you」です。実写映像に興味があったんですけど、自分が部屋にいる以上は無理だって悩みました。みなさんが住んでいる場所で、誰かに頼んで映像を撮って作ってもらうのは憧れですし、自分には今できないことなので、今後やりたいことの1つでもあります。
ーーsomuniaさんは外に出れない理由があるんですか?
somunia:たぶん、出ようとする意思も実はそんなになくて、部屋は出るものという固定観念がそもそもないのかもしれません。この部屋が私の世界の全てです。皆さんは普段の生活の中で、地球から出ようと思わないじゃないですか?それと同じです。宇宙に何があるんだろうと思うのと同じで、部屋の外に何があるのかは知ってみたいけれど、別に自分の生活はこの部屋で完結しているから出ようとも思いません。
でも、最近“データ転送装置”っていうのを組み立てていて。それを使うと自分が部屋にいながらにして、意識とか姿をみなさんの住んでるところに飛ばすことができるようになります。活動していく中で、いろんな人と交流するようになって、たくさんの感情や言葉を知りました。昔よりも人間らしくなってきたので、今後はデータ転送装置を使うことで人格というか、性格が変わっていくかもしれません。そもそも、自分を転送する装置の設計図がパソコンから発見されたことには少し疑問はあります。「データ転送ってことは、自分はもしかしてデータそのものなのかな?」って、急に不安になって。なんか、様々な人と交流して感情が補完されていくのが初めから計画されていたかのような……。私って一体なんなのでしょうね。
ーー「somunia level up project」繋がりで、AR展示会『fable in sleep展』『somunia fanart exhibition』を開催しようと思ったのはなぜですか?
somunia:somuniaという存在を好きな人同士が同じ空間で楽しめるものがあったらいいなって、ずっと心の中にはあったんです。それで「level up project」の一環でファンミーティングイベントだったり、その流れで展示会を企画して、楽曲をベースにイラストを描いてもらって展示することで、で音を具現化したいと思って。この「fable in sleep」というEPには音楽だけにとどまらないもっと深いものがある。それを表現したくて「fable in sleep展」を開催しようと思いました。元々は会場を借りていたのですが、皆さんの住んでいるところが大変な状況ということで、今回は急遽「AR」を使った展示会に変更しました。
ーーAR展示会では実際どのような表現になるんですか?
somunia:展示会で飾る予定だったイラストを中心に様々なAR演出を楽しむことができます。コンテンツの容量の関係で歌詞解説は残念ながら見送りになってしまいましたが、主にイラストとAR演出、fable in sleepの収録楽曲、そして私の会場案内音声が楽しめるARコンテンツになります。
ーー最後にアーティストとしての目標を教えてください。
somunia:今年は音楽を作っていくにあたって、作りたいと思ったことをよりつき詰めていこうとしてる1年なので、歌う音楽のジャンルを絞ったり、また違った一面が出てくるかもしれないです。あとは、今までは部屋とライブ会場を中継して歌うっていうのがメインだったのが、データ転送装置を使うことによってまた違った形でみなさんの前で歌えるようになるかもしれないので、ライブの演出をもっと工夫したり、もう少しみなさんの側で歌えるようにしたいです。
■イベント情報
『fable in sleep』
実施期間:3月25日(金)12:00~4月7日(火) 21:00
体験方法:お持ちのスマートフォン/タブレットでご体験いただけます。 somunia公式twitterより公開されるAR展示会用STYLYマーカー(QRマーカー)をアプリで読み込むことにより、 空間上に浮かび上がるアートをお楽しみいただけます。
スマートフォンアプリ「STYLY」
Google Play
App Store
〈AR展示内容(展示内容は一部変更される場合あり〉
・5名のイラストレーターによる収録楽曲を題材にした新規描き下ろしイラスト
・special booklet 「NEAR」掲載 ストリートスナップ風イラスト
・somuniaによる音声案内
・限定グッズ販売 (受注生産 通販)
etc…
詳細はこちら
■関連リンク
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