『いきマリ』から『さよプロ』へーー結婚リアリティーショー2作品を基に“恋愛と結婚の違い”を考える

いきマリ&さよプロから感じる“恋愛と結婚の違い”

 若者を中心に恋愛リアリティーショー(以下、恋リア)が人気を集めている。AbemaTVでは数多くのオリジナル恋リアが配信されており、中には『いきなりマリッジ』(以下、『いきマリ』)や『さよならプロポーズ』(以下、『さよプロ』)といった“結婚”をテーマにした作品も登場した。

 『いきマリ』では、初対面で結婚式を挙げ、30日間の新婚生活を送って婚姻届を提出するかを決断する。一方、『さよプロ』では、結婚するタイミングを見失ったカップルが、恋人として最後の旅に出て、“結婚するか/別れるか”のどちらかを選択しなければならない。どちらの作品も、永遠のテーマの一つである “恋愛と結婚の違い”を浮き彫りにする。

 恋リアブームを作ったきっかけの一つであり、現在Netflixで配信されている『あいのり』シリーズや、才色兼備な独身男性をめぐって20人の女性が過酷なバトルを繰り広げる『バチェラー』シリーズ(Amazon Prime Video)、AbemaTVで絶大な人気を誇る『オオカミ』シリーズなど、恋リアというジャンルには数多くの人気タイトルがあるが、これらの基本的な構成は男女が出会い、恋人になるまでを映し出す。対して『いきマリ』と『さよプロ』は恋人になるまでの過程は描かれず、将来の伴侶になるための選択を迫られる。二人で過ごす中で、「好き」という思いではどうにもならない壁に直面し、“結婚”へ至るまでのそれぞれの葛藤のリアルさが魅力なのだ。

 『いきマリ』の面白さは、初対面の見ず知らずの男女がとことん“結婚”に向き合うところ。参加者が複数人いる番組とは異なり、相手を選ぶことができない。初対面同士、一対一で30日間の共同生活を送るという設定はなかなか刺激的だ。しかし、「結婚したい」という強い思いから番組に応募した参加者は、制約があるからこそお互いに全力で歩み寄る。価値観の違いでぶつかったり、アプローチの仕方に悩んだり、時には自分自身を見つめ直したり……。二人の間に起こる事件は、視聴者の心をハラハラさせるが、同時に“気持ちだけでは前へ進めない”という恋愛と結婚の違いを客観的に示してくれる。

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