Appleが最大550億円支払い和解ーーiPhoneの“意図的な減速”巡る集団訴訟、決着の動き

 iPhoneの動作速度を何ら通知もせずに、iOSアップデートで故意に遅くしたとして、アメリカで起こされた集団訴訟で2月28日、サンノゼの米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に和解案が提示され、米テクノロジー大手Appleが、原告側に最大で5億米ドル(約550億円)を支払う方向で、調整していることが分かった。

問題となったのはiOSアップデート

 『CNN』によると、Appleは、影響を受けたiPhoneモデルのデバイスごとに所有者に25米ドル(約2700円)を支払い、合計は少なくとも3億1,000万米ドル(約340億円)にのぼるという。2017年12月21日以前に購入したiPhone 6、6 Plus、6S、6S Plus、7、7 Plus、SEを所持しているアメリカのユーザーが支払い対象となる(参考:https://edition.cnn.com/2020/03/02/tech/apple-lawsuit-settlement-slow-batteries/index.html)。

 Appleは2017年12月iOS 10.2.1のアップデートで、最初にバッテリーの劣化したiPhoneの操作速度を低下させるように設定したことを認めている。しかし、買い替えを促進させるためではなく、あくまで突然シャットダウンすることを回避するためだと説明。

 この機能についてユーザーに全く知らせていなかったが、バッテリーを交換することで問題が解決することがあるユーザーにより実証されたため、Appleは謝罪し、2018年1月にバッテリー交換を79米ドル(約9000円)から29米ドル(約3000円)に大幅値引きし対応した。

 専門家は最高で1台46米ドル(約5000円)の損害を想定しており、消費者側の弁護士は、和解条件が「ある程度考慮できるもので、フェアで、合理的で、妥当だ」と述べる(参考:https://uk.reuters.com/article/us-apple-iphones-settlement-idUKKBN20P2E7)。

分の悪さからか、妥協して決着へ

 『Variety』は、Appleは不正は認めていないが、訴訟が長引くことによる負担と裁判費用の増大を回避する意図があるとしている(参考:https://variety.com/2020/digital/news/apple-500-million-settlement-old-iphones-slowdown-1203520842/)。

 集団訴訟の原告側の弁護士は、弁護士費用として最大9300万米ドル(約100億円)に加え、諸経費を最大150万米ドル(約1億7000万円)請求する予定だ。

 なお、2017年12月から2018年6月まで、Appleに対する集団訴訟は66件も起こされており、その後、1件の訴訟に統合されていた。

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