InstagramがPhotoshop加工画像を非表示対応も、デジタルアートに“フェイク”判定の飛び火

インスタ“フォトショ対策”がアートに飛び火

 Instagramが、画像編集ソフト・Photoshopで加工した写真に、たとえそれがアート作品であっても「False Information」(虚偽情報)のフラグを付け、フィードから隠している事例があることが分かった。

 『TheNextWeb』は「Photoshopの加工画像を非表示にするInstagramの決定は、アートに対する不利益だ」という見出しで、この問題を報じている(参考:https://thenextweb.com/dd/2020/01/15/instagram-hides-photoshopped-posts-art/)。米国サンフランシスコの写真家トビー・ハリマンは、「False Information」のフラグが付けられた投稿を突然見つけ、警告表示をクリックすると、それは単に虹色の丘の上に男が立っている写真だった。

 Instagramの広報担当者は、誤った情報の拡散を減らす手段として、画像照合技術を使用していると語っているものの、このシステムが誤った判定を下した可能性は高い。

 広報担当者は、ファクトチェッカーが最初の警告を評価し直し、評価を変更したと説明。その結果、警告表示はなくなったが、あくまで個別の事例についての見直しであり、根本的な問題の解決にはほど遠い状況だ。

政治絡みのフェイクニュース対策が裏目に

 Instagramを所有するFacebookは、2016年の米国大統領選で、フェイクニュースの拡散に大きな役割を果たしたとして非難された。また、ディープフェイクといった差し迫った危機への対策について度々、問いかけられている。

 アート目的の投稿を排除してしまうというリスクを取っても、Photoshopで加工したコンテンツを非表示にするという決定は、この脅威に先んじる対抗策だと思われる。

 『The Verge』は、 Facebookが昨年5月、ナンシー・ペロシ米下院議長の歪曲された動画の削除を拒否し、その動画がフェイクだというラベルを追加することを選択したことに言及。 そのため、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOのディープフェイク動画も削除されずに出回っている(参考:https://www.theverge.com/2020/1/15/21067207/instagram-false-information-warning-facebook-misinformation-digital-art)。

 FacebookとInstagramは、虚偽の可能性のある投稿を削除せずに残す判断をして、批判に直面している。Facebookは一方で、政治家の投稿はファクトチェックしないとし、新たな論争が起こっている。

Instagram、ファクトチェックプログラムを全世界に拡大

 Instagramは2019年12月16日に更新したブログで次のように述べている(参考:https://instagram-press.com/blog/2019/12/16/combatting-misinformation-on-instagram/)。

「写真やビデオの誤った情報は、業界全体で課題になっており、対処に注力しています。2019年5月に、米国で虚偽の情報の特定、確認、ラベル付けのため、サードパーティのファクトチェッカーと協業を開始しました。パートナー企業が、誤った情報を独自に評価・把握し、拡散を減らすのに役立てています。このファクトチェックプログラムをグローバルに拡大します。

サードパーティのファクトチェッカーによってコンテンツが虚偽と評価された場合、ExploreとHashtagページからコンテンツを削除し、配信を減らします。画像照合技術を使用して、該当するコンテンツを更に見つけ出します。そして何を読んで、信頼し、共有するかを人々が自分で判断できるようにラベルが付けられます」

 規制を最小限にし、判断はユーザーに任せ、その判断基準はプラットフォーム側でも提供するというのが、FacebookとInstagramのスタンスのようだ。

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