少年少女が時空を超えて戦うSFジュブナイル『十三機兵防衛圏』発売 異なるゲームシステムを楽しもう

『十三機兵防衛圏』レビュー

 アトラスは11月28日、PS4用ソフト『十三機兵防衛圏』を発売した。

 『ドラゴンズクラウン』や『オーディンスフィア』など、名作2Dアクションゲームを生み出してきたアトラスとヴァニラウェアのタッグで生まれた本作。内容は13人の少年少女が織りなすSFジュブナイルで、等身大の人間像を描きながらも、人類が迎えてしまう終焉や組織の陰謀に惑わされる人々の姿など、謎を多分に含んだシナリオが時代を超越して繰り広げられていく。

 また、公式がシミュレーションアドベンチャーと銘打っている通り、テキストを読みながら物語を進めるADVパートと、「機兵」と呼ばれるユニットに乗り込んで敵と戦うSLGパートに分かれているのが特徴。本稿ではゲームシステムの異なる「追想編」「崩壊編」にフォーカスし、本作が持つ魅力を伝える。

濃密なテキストと美麗なビジュアルを楽しむ「追想編」

 追想編でプレイヤーに与えられた目的。それは13人の主人公を操作し、地球外から飛来した「怪獣」の危機に対抗するべく、物語に隠された謎を解明すること。本パートでは第二次世界大戦の最中からタイムスリップしてきた軍人や、はたまた40年近い未来からの来訪者まで、それぞれの時代を生きる者たちが1985年の日本に集結する。

 そうした登場人物たちの個性や特徴も様々。特撮映画に目がない男子高校生を筆頭に、オカルト好きの女子や、覚えのない殺人容疑で逃げ惑う記憶喪失者など、どれもキャラクター性が濃密に描き込まれている。同様に各シナリオもテイストが異なるため、別々の視点から体験した際に気づく物語の多様性に驚かされるはずだ。

 加えて追想編で特筆すべき要素が「クラウドシンク」。これはキャラクターが会話やイベントを通じて覚えたキーワードを別のシーンで活用するシステム。使い所やタイミングに応じて物語が分岐することもあり、本作の根底にある重厚感の演出として機能している。総じて追想編はビジュアルノベルを読み進めるかの如く、テキストやキャラクターの立ち居振る舞いを目と耳で感受する場所……と形容できるだろう。

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