東海オンエア「俺らリサイタルズ」MVに見る“愛とリスペクト” その魅力を真剣に分析してみた
また、アイドル感を醸し出す振り付けは、振付稼業air:manが担当。いきものがかりの「じょいふる」、きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」など、キャッチーな振り付けで注目を集めてきた振付稼業air:man。これまでジャニーズアイドルの振り付けを多数手がけてきており、その実績一覧にはとしみつの好きなSMAPの名前も。「俺らリサイタルズ」のスタンドマイクで、ファンと共に手振りで楽しく踊れるスタイルは、NEWSの「チャンカパーナ」にも近いテイストだ。
作曲、アレンジ、振り付けと、本物のアイドルソングを作るかのような制作陣を揃え、作詞を手がけているのがエースことしばゆーというのが、やはり東海オンエアだ。だが、そのしばゆーの紡いだ歌詞のクセの強さは、ジャニーズアイドルを多く生み出してきたジャニー喜多川氏に通じるものを感じてしまう。〈米早炊きでJKギャン泣き〉など、出てくる歌詞にはいちいち「どういうこと?」と頭の中にはてなが出る。その圧倒的な違和感を放つパワーワードと、同時に響きの気持ちよさを成立させる技は、まさに〈天才 才 才 天空は Mine〉だ。
以前『ヘタハモり選手権』の概要欄には、こんなことが書いてあった「大抵のことは、Don’t Think. feelで行きたいものですが、人生はなかなかそうは行ってくれないのが現実。物事をしっかりと考え、行動せねばなりません。しかし時には、瞬間的に動くことも大切・・・。これを我々は「最大瞬間風速」と言って使っています。ジャイアン選手権を撮った時も、てつやの『あの遠くに見える山は本当に山なのか!?』という動画もきっとそうでしょう」。
愛とリスペクト、そして非凡なセンスがかけ合わさってできたのが「俺らリサイタルズ」なのだ。感性や勢いで突っ走る〈ガキ大将も楽じゃない〉。だが、それをやってのける東海オンエアに、私たちはいつもエネルギーをもらう。「バカバカしい」を突き詰めれば「エンタメ」になる。「遊び」を極めれば「仕事」になる。瞬間最大風速が吹き荒れれば、人々を賑わす嵐になる。そして、かっこよくて面白い人生を送りたいなら、自分たちでリサイタルすればいいのだ、と。
(文=佐藤結衣)