『テラスハウス』東京編:第9~12話ーーメンター的役割の香織とずっとチルってるケニーの対称性

『テラスハウス』東京編、香織とケニーの対称性

一方で、オープンには見えないケニー

「まじめな話を全部チルに持っていかれる」

 あまり男性陣と話すことがない春花に、せっかくこの家に住んでるんだからみんなと話したほうがいいんじゃない? とアドバイスをするのもテラハのメンターである香織のナイス配慮。そこで春花が翔平以外の男性陣について言及したのがこの言葉だ。とりわけ、深く考えずに「なんとかなるでしょ!」と言うケニーは、正反対の香織の存在もあってやや悪目立ちするようになってきている。

 莉咲子からの再三のアプローチを受けても「そうだね〜」しか返すことができず、仕事で行き詰まる香織や流佳には「大丈夫だよ!」と根拠のない励ましを送る。春花と喧嘩した莉咲子が夜遅くに家を出ていっても、特段興味はなさそうで……。能天気な性格が悪いわけではないし、みんながギチギチに考え込んでいるのもそれはそれでしんどいだろう。けれど、最年長のポジションにいて、それなりにみんなを引っ張る姿勢を見せながらも、実は何も考えていないというところに、どうしても疑問符を浮かべてしまう。スタジオメンバーからは“プロモーション疑惑”も指摘されているが、真相はいかに……。

 ケニーの未熟さがあらわになるからこそ、流佳の成長がよりいっそう際立ってきている。最初の“ブロッコリーパスタ”こそ衝撃的なものだったが、とりあえず挑戦して、失敗から学ぶということを急速に実践しはじめているのだ。そうして成長していながらも、流佳から今度は飲みに行こうと誘われ、約束している香織は「何を話したらいいかわからない」と困惑気味。一方で翔平にはたくさん話したいことがあって、憧れの存在であるということを吐露していた。

 流佳や香織の想いは育まれながらも、一方通行の一途をたどっている。そんななか、第12話ではついにケニーが莉咲子に「好き」であると告げ、その答えは次話に持ち越された。これまでずっと受け身だったケニーが、最後も莉咲子に言葉を引き出されるようにして告白へと踏み切ったように見えなくもないなか、彼女たちの関係はどのような結末を見せるのだろうか。

 最後に、この4週でいちばん心を掴まれたシーンをあげて記事を締めたい。第11話の最終パート、「何したいかまだ見つかってない?」と春花が尋ねると、流佳は“ブロッコリーパスタ”をフォークで掬いながら情けなさそうに首を縦に振る。そのあとの「それでいいと思う」、この春花の返答がまるで青春群像ドラマのようだった。

■原航平
1995年生まれ。ライター/編集。映画やドラマ、演劇などのカルチャーをこよなく愛する。テラスハウスは日々の癒し。Twitterブログ

■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる