米国議会がFacebookの仮想通貨Libraに危機感 「我々の信頼に値しない」

 Facebookは、新しい仮想通貨Libraをローンチする計画を発表した。しかし、既存の金融機関の在り方を変えてしまう可能性があり、米国政府は危機感を募らせている。

 そしてFacebookのブロックチェーン事業を担当するデヴィッド・マーカス氏が、7月16日、米国上院銀行委員会の公聴会に出席し、翌17日は米国下院金融サービス委員会の公聴会に出席するに至った。

Libra実験は「狂気の沙汰」なのか?

 シェロッド・ブラウン米上院議員は「相次ぐスキャンダルで、我々の信頼に値しない。人々の銀行口座で実験をさせるなど、狂気の沙汰だ」と公言し、不快感を露わにしている。

 マルタ・マクサリー議員は「信用できません。自分の家(不祥事)を整理するかわりに、新規ビジネスモデルをローンチするんですか」と不満を述べ、デヴィッド・マーカス氏は、「重要な法規制の対応がなされるまで、Libraを発行することはない」と約束したが、開発は引き続き進めていくことを明らかにした。

 『Forbes』は「多くの者が、ザッカーバーグの話を疑っており、会社の拡大と支配を増大させるためのパワープレイだとみている。もしFacebookユーザーが、Libraで金銭的なやり取りをするようになると、米国や他の国の通貨や金融システムを危うくする。強大な企業1社が、お金の流れを支配し、米ドルは深刻な影響を受けるだろう。政府は危機感をいだいている」と記している(参考:https://www.forbes.com/sites/jackkelly/2019/07/16/facebooks-libra-comes-under-fire-in-senate-hearing-heres-why-congress-is-terrified/#6f64b52736b4)。

根底にあるのはFacebookへの“根強い不信感”

 『Mashable』は、Cambridge Analyticaスキャンダルといったデータプライバシーの問題、フェイクニュース、2016年大統領選の外国の干渉、ミャンマーの集団虐殺に果たした役割等に触れ、Facebookの危険性を指摘(参考:https://mashable.com/article/facebook-libra-hearing-congress/?europe=true)。とくにユーザーに無断でデータを販売したCambridge Analyticaスキャンダルでは、米国連邦取引委員会(FTC)から50億米ドルもの制裁金が科されることになったことを振り返った(参考:https://eu.usatoday.com/story/money/2019/07/15/facebook-fined-5-billion-ftc-cambridge-analytica/39687137/)。

 このことに対し、デヴィッド・マーカス氏は、Libraの統制は、Facebookではなく、非営利団体Libra Associationにより行なわれると強調している。

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