攻殻機動隊を思わせるカッコよさ 教育用ロボ『RoboMaster S1』がスゴかった
6月某日、おれは市ヶ谷にたどり着いていた。なんでもDJIの新製品お披露目イベントがあるというので、知り合いから誘ってもらったのである。会場はなんと学校。しかも発表されるのはロボットだ。「なんで学校……?」と思いつつ、会場まで歩いて向かう。
お披露目されるのは、RoboMaster S1(以下S1)というロボットである。そもそもDJIはドローンとか、あとはカメラを乗っけて使うジンバルとかを作っているメーカーだ。このDJIが初めて作った、四輪式で地面を走るロボ、しかもめっちゃ多機能なすごいやつ……それがS1なのである。
なぜ会場が学校だったのかは、到着してからのプレゼンテーションを聞いていてすぐわかった。というのも、このロボットは教育用なのだ。バラバラの部品の状態でユーザーのところに届き、自分で組み立ててスマホやタブレットのアプリケーションで操作することができる。さらに車体に取り付けられた各種のセンサーを使って、動きをプログラミングすることもできる。ロボットを使って楽しくプログラミング学習をすることができるというのが、S1の大きな目的なのだ。
ロボットを使ってプログラミングや初歩の工学の勉強をするんだから、ロボット自体がちゃんとした機能を持っていないと成立しない。というわけで、S1は46個の部品と6つのAIモジュールの動きをプログラミングでき、駆動系は4WD。車体に乗っかっているターレットにはカメラとセンサーとレーザー発射機とゲル弾発射装置(!)を搭載し、車体各部には感圧式センサーを搭載したアーマーを積んでいる。ハイテクである。
というような機能を搭載しているわけだが、おれはあまりロボットの中身のことがわからない。わかるのはガワの部分である。正直、S1の見た目はかなりカッコいい。ターレットの上に耳が生えてて側面がLEDでビカビカ光るのはニール・ブロムカンプの『チャッピー』みたいだし、外板に彫ってある機能があるのかないのかよくわからないフレーム的なモールドからは洋ゲーっぽいセンスを感じる。各パーツの面取りもガンプラみたいだし(そこの角が斜めに落ちてると気持ちいい!っていう部分がちゃんと斜めになっている)、ブラスターの先端や車体背面に見えているケーブルとかにチラリと見える差し色のオレンジもニクい。
どれだけ機能が充実してても、カッコ悪いロボットをプログラミングしようという気分になる子供はあんまりいないだろう。まずは「こ、こいつを意のままに動かしテェ……!」という気分を盛り上げるのは、S1の目的のためには必要不可欠な要素だと思う。そういう点からすると、S1の見た目と機能は合理的だ。ターレットの後ろにガチャリとゲル弾を詰めたマガジンを差し込むプロセスもカッコいいし、起動すると各部のLEDがギュイーンと光るのもイカしている。ガンダムやザクの目は伊達に光っているわけではない。「ロボットを起動した時にギーン!といろんなところが光るとビビるしカッコいい」というみんなの気持ちに、S1はしっかり寄り添ってくれている。