『スマブラSP』で『バンカズ』の歴史詰め込まれた「クルクルやまのふもと」セルフアレンジ公開
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、『スマブラSP』)に、1998年発売のNINTENDO64用ソフト『バンジョーとカズーイの大冒険』のキャラクター、クマのバンジョーとトリのカズーイの実装が決定。公式サイトで「クルクルやまのふもと」が視聴可能になっている。この楽曲は、オリジナル版を担当したGrant Kirkhope(グラント・カークホープ)が新たにセルフアレンジを担当。バンジョーとカズーイのこれまでを踏まえたと思しき楽曲に仕上がっている。
その説明をする前に、まずは今回の実装の経緯をまとめておきたい。先だって公開された告知動画には、バンジョーとカズーイの実装を待ちわびる『ドンキーコング』シリーズの登場キャラクター、ドンキーコング、ディディーコング、キングクルールが登場し、2人の実装に歓喜する姿が収められていた。これはなぜか。まずはここに、とても重要な意味がある。
というのも、『バンジョーとカズーイの大冒険』を開発したレア社は、もともと任天堂が株を保有していた開発会社で、スーパーファミコン時代から『ドンキーコング』シリーズの開発を担当。カズーイとコンビを組む前のバンジョーが初めてゲームに登場したのも、実は同社によるNINTENDO64用ソフト『ディディーコングレーシング』であり、もともと2作品は距離の近い「兄弟」的な関係にあった。
ところが、レア社は2002年に任天堂から、Xboxの販売をはじめたばかりのマイクロソフトに売却。それ以降『ドンキーコング』の版権は任天堂が、『バンジョーとカズーイ』の版権はマイクロソフトが保有し、19年間もの間、任天堂の作品にバンジョーとカズーイが登場することはなかった。つまり今回の実装は、かつて権利の関係で引き離されてしまった作品のキャラクターたちが、時を経てふたたび出会う「奇跡の再会」としての側面があるのだ。日本版の告知動画のタイトルが「仲間たち」になっているのも、そうした経緯ゆえ。2社間の協力によって実現した今回の再会は、様々なタイトルから人気キャラが集結する『大乱闘スマッシュブラザーズ』だからこそと言える。
そうした今回の実装に際して、オリジナル版の作曲者であるGrant Kirkhopeがセルフアレンジを施したのが、今回公開された「クルクルやまのふもと」だ。Grant Kirkhopeはイギリス生まれ、現在はアメリカの市民権を獲得しているゲーム音楽家で、バンド活動を経て1995年にレア社に入社。同社では『バンジョーとカズーイの大冒険』や『ゴールデンアイ 007』『パーフェクトダーク』などの音楽を手掛け、現在はフリーランスとして活動している。ちなみに、彼は『バンジョーとカズーイの大冒険』と『バンジョーとカズーイの大冒険2』で複数の登場キャラクターの声を担当しており、同時に『ドンキーコング64』でもドンキーコングの声を担当していた人物。つまり、彼自身も今回の再会に大きく関係のある人物であり、そんなキーマンのひとりによって時を経て再アレンジされたのが、今回の楽曲となる。