故・岩田聡氏との秘話や『スマブラ』裏話も……『桜井政博のゲームについて思うこと』書評
そしてもちろん、桜井氏だからこそ書けるコラムもたくさん収録されている。ゲームクリエイターであり、 任天堂の代表取締役社長を務めていた故・岩田聡氏に関するもの。ゲームを作る前から「頭の中で完成像ができている」という稀有な能力を持った桜井氏がどのように制作に取り掛かっているのか。もちろん、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズに対してどのような考えを持ちながら作りあげたのか──。その一部も垣間見ることができるだろう。
ゲームというものは遊ぶだけでも楽しいが、「なぜおもしろいのか」だとか、あるいは「自分はこのゲームをどうして楽しめなかったのだろうか?」、もしくは「開発側にどんな都合があったのだろうか?」などと深掘りしていくと、より奥深く味わうことができる。『桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019』は、ゲームを開発者の視点からも捉える一助になる。この本を読んでからまたゲームを遊ぶと、さらなる奥深さに気づくことができるようになるかもしれないのだ。
■渡邉卓也
「マリオの乳で育った男」と自称しているゲームライター。サラリーマン時代、定時で帰ってゲームをしようとしたら「そんなに早く家に帰ってすることあんの?」と上司に嫌味を言われ「あ、そういえば自分は仕事などではなくゲームをするために生きているのだった」と思い直しゲームライターとなる。好きなキャラクターは「しずえ」と「カービィ」。