アバターはOSになり、人はテクノロジーと旅をするーー新たな概念「Virtual Beings」について
Oculusの映像創作部門を出自に持つ映像制作スタジオ「Fable」。VR・AR技術を活用した映像作品の制作を行う同スタジオの創業者・Edward Saatchi(エドワード・サーチ)氏は到来するVR時代に対応する新たな概念「Virtual Beings」を提唱した。
インタラクティブメディアの発展がもたらす全く新しい体験
Edword氏はもともとOculusの映像制作部門「Oculus Story Studio」に所属していた。同社はこの部門を2017年に閉鎖し、その後Edword氏は映像制作会社「Fable」を立ち上げることとなった。彼らはインタラクティブ性を重視したエンターテイメント作品を作ることに主眼を置き、現在はOculus Story Studio時代から取り組んでいた、ニール・ゲイマンの小説「Walls in the Wolves」の映像化を引き続き進めている。
特に近年、CGやボディトラッキングの技術が目覚ましい発展を見せている。これらの技術を利用した「バーチャルアバター」が動画やゲームの世界で自由に動き回る姿を見ることも多いだろう。さらに、VR・AR(あるいはXR)といった、新たな身体体験を作るテクノロジーにも注目が集まっている。そこでEdword氏が提唱した概念が「Virtual Beings」だ。
直訳すると「仮想実存」「仮想存在」となるこの概念の詳細は、FableのWEBサイトで確認できる。
Virtual Beingsとは何か?という問いへの回答を意訳すると、「ユーザがその実存を信じずとも、双方向的なコミュニケーションや信頼関係を結べる人格・存在」となる。その完全な実現には、アバターとAIの存在が必要不可欠で、それは様々な種類のメディアを超えて実存を持ち、ユーザが彼らと会話をするときには、それは彼らのストーリーの中で彼らの旅のいちパートとして迎えられる、という。
Vitual Beingsが定義するレンジは幅広く、FableのWEBサイトではその一例としてデジタル・インフルエンサーのLil Miquela(リル・ミケーラ)や、HMD方式のウェアラブルコンピュータ、「Magic Leap」の利用時に現れる人工知能エージェント・Mica(ミカ)を上げている。また、Edword氏は他のメディアに寄稿した記事にて、Virtual Beingsとのふれあいを「娯楽や生産性」を超えた体験であるとしている。
Magic Leapの人工知能エージェント、Micaの解説Keynote。ミケーラ同様に、実在の人間と見紛うようなリアルな造形のキャラクターだ。