人生を見つめ直すきっかけに……自分探しタップゲーム『ALTER EGO』が教えてくれること
さて、ここからは完全な私事になるのですが、30代になった頃から、「この先ずっとこんな感じで人生が進んでいくのだろうか……」と、自分の人生の限界が見えてきて、不安を覚えることも増えました。そして昔は鼻で笑っていた「自分探し」という言葉の意味と、その重みがようやく分かってきました。私はいったい何がしたいのか? そもそも私はどういう人間なのか? ビッグ・ダディのように「オレはこういう人間だ」とは言い切れません。しかし答えを求めてアレコレやっても、たとえばインターネットで調べても、「調べてみました!」で始まり「いかがでしたか?」で終わる、まとめサイトに行きつくばかり。考えれば考えるほどワケが分からなくなり、結局は考えるのを止めるようにしていました。とは言え、心のどこかでは考えないといけないと分かっているわけで……何とも中途半端な状態です。
そんな私にとって、この『ALTER EGO』というゲームは、今まで目を逸らしていた「自分と向き合う」という行為の助けになっています。もちろんゲーム中の性格診断の結果を額面通りに受け取るつもりはありません。「これはちょっと違う」と思うときもあります。しかし目を逸らしていたことを考え直すキッカケにはなりました。それだけでも本作をプレイして良かったと思っています。何となく現状に不安があり、自分を見つめ直してみたいと思っている人にとって、本作は良いキッカケの一つになるのではないでしょうか。
■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。