堀井雄二と日野晃博の濃厚な『ドラクエ』談義 「レールは敷くが、安心して脱線できる楽しさ」

堀井雄二と日野晃博の『ドラクエ』談義

シナリオは「ただの段取りではない」

シナリオのアイデアが尽きることはないのですか?

 「イチビリというか、人が一生懸命にやっているのをイタズラしちゃう」。堀井は『DQ』でシナリオを活かすテクニックを、そのように明かした。どう反映されているのかというと「一生懸命ボスを倒しに行こうとしているのに、イタズラが起こる。魔王を倒すという大きなストーリーがあるけど、途中でどんなストーリーがあれば面白いか、この町にいけばどういうことが起きてどう驚くか意表を突く」というプロセスだ。「魔王を倒すのはわかっているから、どういうイベントを起こそうか」と考えた結果になる。

 また堀井は「登場人物を考えて、どういうエピソードだとキャラクターが立つか」にも言及。ナンバリング最新作の『DQXI』では「喜んで城に行ったら捕まっちゃった。捕まったら囚われている仲間がいた。『このあとどうなるのかな?』と思わせるように、主人公に感情移入させる」という例になった。

 「例えば『転校生がやってくる』だと、ただ来るだけなら誰でもわかる。そこで『強い奴が来ると聞いてたのに、ヒョロヒョロの痩せた奴が来た』というギャップを作る。『どういうこと?』と思わせる事情がある。ただの段取りじゃなくて、どうなれば面白いのかを考える」(堀井)

「ユーザー視点で見られるというのが大事」 堀井雄二のメッセージ

堀井さんからのメッセージ

 堀井は最後に「作る側の視点になるとユーザーの視点がわからなくなる人が多いと思う。自分の作ったものをユーザー視点で見られるというのが大事」と、ゲームデザインの質問で触れた内容に念を押し、「手取り足取り教えてユーザーの不安を取り除いて、しかも教えすぎないように良い感じで手を離れるような楽しいゲームを作ってほしい」と講演を終えた。

 このほか日野からの「ドラクエXの次のオンラインはあり得ますか?」「ドラクエでないものを作る予定は?」「XII」という、堀井が答えにくいキワドい質問に会場が沸いていた。

 なお12月20日にはナンバリング作品ではないが、『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』が発売される予定だ。これを遊びながら次なる展開を楽しみに待ちたい。

(取材・文=真狩祐志)

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