『デビル メイ クライ5』はサウンドがより“スタイリッシュさ”を演出? サウンドチームに聞いてみた

『DMC5』サウンドチームインタビュー

“昨日食べたスペアリブ”から録った音

――戦闘曲についてたっぷりお話をお聞かせいただきましたが、効果音についてはどうでしょうか。サウンドエフェクトは、スタイリッシュさを感じさせるために重要なものだと思いますが。

渥美:効果音を作るうえで意識したのは、リアルな音というよりは“ホンマっぽい音”を作ろうということでした。ハードが進化してグラフィックがリアルになっているのですが、リアルな音を追求すると音が地味になってしまうんですよ。リアルな音は画には合うけど地味だからダメ。かといって嘘みたいな音も当然ダメ。だからホンマっぽい音にするために、剣を振る音なら剣の形や重さまで意識して、面白い音を作るよう心がけました。嘘っぽい音は作るの簡単ですが、それをどこまでホンマっぽく寄せるかという作業が大変でしたね。

Matthew:何か具体例ありますか?

渥美:たとえばブルーローズ(ネロの銃)の銃声。海外で本物の銃を撃ったことがあるのですが、本物の銃声って耳栓をしていても耳が割れそうなくらいの音がするんです。だからブルーローズの射撃音も無茶苦茶大きくしたら、大きすぎて他の音が聴こえなくなってしまって(笑)。チームメンバーと相談しながらどこまで下げるか、随分相談しました。

――派手にしたいけど、派手にしすぎると音楽が聴こえなくなるジレンマがある、と。

渥美:あと嘘っぽくなる。まあ、嘘なんですけど、「嘘やん」って思われたらダメじゃないですか。

――音作りで面白いものから録った音ってありますか。

渥美:スペアリブから(笑)。

Matthew:え、スペアリブから何を録ったんですか!?

渥美:敵に死神みたいなフォルムのキャラがいるのですが、そいつのつま先を見てたら「これスペアリブみたいだね、爪が」となって。するとSEを作ってるメインデザイナーがちょうど「昨日の晩ご飯スペアリブやったわ」って言って次の日スペアリブの骨を持ってきたんです。できすぎだろ?って感じですけど、実際その骨で音を録りました。軍手の中に砂を詰めて、ガムテープでスペアリブの骨を先っちょにくっつけて。そしたらいい感じで。

右:渥美格之進氏、左:小池義規氏

鈴木:今回フォーリー録音(※1)は随分やりましたもんね。

渥美:そうですね、フォーリー収録用のスタジオがカプコンにもできたので。ただフォーリー収録した音を加工しすぎると、すぐに嘘の音になってしまうので、そうならないよう適度な加工のバランスを探りつつ、という感じでしたね。

※1 フォーリー:映像の動作に合うサウンドを、映像とは別録りで用意して合成する手法。

『DMC5』は伊津野ディレクターからの挑戦状

――ありがとうございます。では最後にゲーム内容について、プロデューサーのMatthewさんにお聞きしたいのですが、『DMC4』から10年近くが経過して、『DMC5』までにいろいろなアクションゲームが出ているわけですが、ほかのアクションゲームを踏まえて今回こだわられている点はあるでしょうか。

Matthew:今回、ディレクターの伊津野がやりたかったのは、ほんとうに気持ちいい爽快感のあるアクションゲームを作るということでした。おっしゃる通りこの10年でいろんな作品が出ています。面白いアクションゲームでも、例えばシナリオが中心だったり、オープンワールド的な要素が中心のゲームになっていたりするわけです。そこで伊津野は『DMC5』を、「気持ちいいピュアアクションゲームってこういうもんでしょ」という挑戦状として叩きつけている感じです。

 グラフィックにもものすごくこだわっていて、ハリウッドを超えようというのが、僕らの目標です。難しいのは見た目がリアルになると、今までは違和感を感じなかったものがおかしく見えてくるというところですね。例えば剣の振り方1つをとっても、今までなら気にならなかったけど、映像がリアルになったことで「軽そう」に見えてしまう。あの剣はもっと重そうに振らないとおかしい、みたいな。だからグラフィックをよくすると同時に、モーション(アニメーション)のリアリティという点にも力を入れています。そこのバランスはすごく苦労しました。

鈴木:ダンテが銃を撃ちながら移動していると、ちゃんと髪がファサァと揺れて動くのは、すごく印象に残っています。リアルですよね。

Matthew:ほかにも、アクションゲームでは途中の動きを省略して次の動きに繋げる“キャンセル”モーションという表現があります。グラフィックがリアルになるとこのキャンセルのモーションに違和感が出るんです。リアルなキャラの腕なんかが、キャンセルで瞬間移動していたらおかしいじゃないですか?だからキャンセルして次のアクションに移るまでの、中間部分のアニメーションもちゃんと作らないといけない。でも、その結果全体の動きが鈍くなってしまうと爽快感がなくなってしまう。とにかくバランス調整が大変でしたね。

“すべてはファンのため”

――ありがとうございました。最後にみなさんからゲームファン、そしてDMCシリーズファンの方へコメントをいただいてもよろしいでしょうか。

Matthew:今日サウンドチームは、すごく面白い話を聞かせてくれましたけど、「DMC5」の開発チームは、ファンが喜んでくれるものを作ろうとこの3~4年間ずっと頑張ってきました。サウンドに限らずすべてが「DMC」ファンに喜んでもらえるものを目指しています。だから、ぜひコントローラーを手に取っていただいて、ご自分で体験して欲しいです。きっと開発チームの頑張りが実感していただけるんじゃないかな?と思います。

鈴木:戦闘曲の話もたくさんさせていただきましたが、それ以外にもたくさん面白い音楽の試み、かっこいい音楽を入れていますので、ぜひゲームプレイで聴いていただきたいです。ちなみに、デラックスエディション付属のダウンロードコンテンツではBGMを過去作のものに変更することもできるので、それで遊んでもらえると、また違う発見もあるはずです。

渥美:サウンドに限らず、画もUIも細かい部分までいっぱいこだわってます。でもまずは、そういうことを気にせずゲームを楽しんで遊んでください。そして、2周目からは「制作者がこういう話してたな」とか気にしながら遊んでもらえたらうれしいな、と思います。

小池:普通ゲームのサウンドは、ゲームを遊んでいるうちに気に入っていくものですが、DMC5では「音楽を聴いて曲が好きになったから」をきっかけにゲームで遊んでもらう。見たいなことも目指しています。だからそんなユーザーさんが出てきてくれたらとても嬉しいです。あとは、“ライブ感”という話が出ましたが、全体的にフェス感みたいなものが出ているゲームに仕上がっているので、ぜひプレイしてください。

――もし『DMC』フェスがあれば、楽しみにしています。

一同:(笑)

ーーそこはMatthewさんと岡部さんの手腕次第ですね(笑)。

(取材・文=脳間寺院)

■リリース情報
『デビル メイ クライ 5』
対応ハード:Xbox One、PlayStationR4、PC
発売予定:2019年3月8日(金)
希望小売価格
パッケージ版 6,990円+税
ダウンロード版 6,480円+税
※PC版はダウンロード販売のみ
CEROレーティング:D(17才以上推奨)

デラックスエディション(ダウンロード版のみ販売)
Xbox One、PlayStationR4:7,400円+税
PC:7,436円+税

公式サイト:http://www.capcom.co.jp/devil5/

©CAPCOM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

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