2018年いちばん注目されたインディーゲーム『Celeste』はどこがスゴいのか?

BEST SCORE/MUSIC(作曲賞)ノミネートも納得の音楽

 The Game Awards 2018では、GOTYのほかBEST SCORE/MUSICにもノミネートされた『Celeste』だが、たしかに本作の音楽はこだわり抜かれている。

 ステージのどこかに隠された“カセットテープ”を手に入れるとプレイ可能になる“B面”用に、わざわざ専用BGMまで作成しているのには感服するしかない。筆者はノーマルモードでさえなんとかクリアできた程度の腕前だったので、B面は敬遠していたのだが、試しにB面に入ってみたところ音楽が素晴らしいあまり、うっかり1時間近くプレイしてしまった。

 『Celeste』の音楽は、凍えるようなセレストマウンテンの空気をイメージさせるものであり、心に病を抱えるマデレンの精神状態を表現したものでもあるだろう。

難易度は高いが人を選ぶゲームではない

 『Celeste』はほんとうに難しい。クリアまでの死亡回数はゆうに1000回を超えてもおかしくないし、コンマ1秒が生死を分けるようなシビアな操作も求められる。だが、それでも『Celeste』はコアなゲーマーだけでなく多くの層が楽しめる作品に仕上がっている。

 無制限コンティニューと大量にあるチェックポイントのおかげで何度死んでもストレスはなく、どうしてもクリアできない人のためにアシストモードまで用意されている。

 ファミコン時代のアクションゲームが準備なしで登る富士山だとすれば、『Celeste』は最新の登山用具をフルで揃えて登るエベレストのようなものだ。求められる操作自体は『ロックマン』や『マリオ』よりも遙かに複雑だが、遊んでいて快適なのでいくらゲームオーバーになっても飽きることがない。

 高難易度でストイックなゲーム性を保ちながらも万人が楽しめるゲームに仕上げられたことが、『Celeste』の高評価の大きな要因ではないだろうか(また、この記事では触れていないがストーリーも海外のメディアでは非常に評価されている)。

 欠点があるとすれば、8方向入力を正確に入力できるコントローラーでなければ空中ジャンプの軌道を制御しづらく、ややストレスが貯まることぐらいだろうか。もし持っているなら、アーケードコントローラーでのプレイをオススメしたい(必須というわけではないが、アケコンを使えばより思い通りに操作できるはずだし、なによりレトロな名作アーケードゲームをプレイしている感覚に浸れる)。

 The Game Awards 2018で本作がどこまで躍進するかは、12月7日の午前10:30からの受賞発表で明らかになる。インディーゲーム期待の星の行く末を見届けよう。

■脳間 寺院(のうま・じいん)
京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクはだいたい友達。「ゲームをもっと面白く」をモットーに記事を書くゲームライター。Twitterにてゲームにまつわる情報を発信中。Twitter:@noomagame

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