Samsung、折り畳み型スマホ「Galaxy F」を2019年3月に1,770ドル(約20万円)でリリースか?

「Galaxy F」を2019年3月にリリースか

 スマホメーカー最大手のSamsungは、今月はじめに折り畳み型ディスプレイ「Infinity Flex」を発表したのだが、このディスプレイを実装したスマホに関する詳細は明らかにしなかった。こうしたなか、同社製折り畳み型スマホのリリース時期と価格が明らかになった。その価格は、ライバルメーカーのフラッグシップモデルを超えるものになりそうだ。

iPhone XS Maxより強気な価格

 韓国メディア『Yonhap News』は、12日、Samsungが開発している折り畳み型スマホ「Galaxy F」(仮称)のリリース時期と価格について報じた。この報道の情報源は「業界関係者」とされているのだが、同スマホのリリース時期は2019年3月になると言う。これに先立つ2019年2月には、Galaxyシリーズのフラッグシップモデル「Galaxy S10」が発表される、とのこと。また、Galaxy S10は次世代通信規格である5Gに対応するが、Galaxy Fは5Gに対応しないと見られている。

 Galaxy Fの価格は、1,770ドル(約20万円)と予想されている。この価格は、iPhoneシリーズの最上位機種であるiPhone XS Maxの512GBモデルの1,449ドル(日本国内価格では164,800円)を大きく上回るものとなっている。

 Galaxy Fの出荷数に関しては、先週、同社電子機器部門トップのKoh Dong-jin氏が少なくとも100万台は出荷すると発言している。

Galaxy Fは初代iPhoneに似ている?

 以上のように高額な折り畳み型スマホは売れるのだろうか、という疑問が当然わいてくる。こうした疑問に対する回答のひとつして、海外メディア『Mint』が11日に掲載したLeonid Bershidsky氏のGalaxy Fに関する論評がある。

 ブルームバームのコラムニストとして活躍している同氏は、同スマホは初代iPhoneに似ていると指摘する。初代iPhoneが登場した時、ユーザはタッチスクリーンを欲しがっていたわけではなく、競合製品もなかった。同様に同スマホの競合製品は現時点ではなく、折り畳めるタッチスクリーンを欲しがっているユーザがいるかどうかもわからない。

 だがしかし、SamsungがGalaxy Noteシリーズモデルを初めてリリースした時も、「こんな大きなディスプレイの需要があるのか」と言われながら、結局はスマホの新たな製品カテゴリーとして定着した。この経緯からわかるのは、ユーザはポケットに入る大きなディスプレイを潜在的に求めている、ということである。

 以上のように述べたうえで、Galaxy Fシリーズは初年度の四半期ごとに100~200万台程度売れれば十分である、と同氏は語っている。そして、売上台数より重要なのはアーリーアダプターの評価である。アーリーアダプターに評価されたならば、数年以内にライトユーザも買うようになるだろう、と予測している。

 同氏は、構造上の理由から折り畳み型スマホが従来型スマホより耐久性に劣ることは、むしろメーカーにとって好都合であるとも言う。なぜならば、耐久性に劣る折り畳み型スマホを使用すると従来より買い替えサイクルが短くなるので、停滞気味のスマホ市場を活気づけるだろうからである。

世界のスマホ平均価格は上昇傾向

 スマホユーザがより大きなディスプレイを求めているのは本当のように思われるが、そうは言ってもGalaxy Fの価格は折り畳み型スマホ普及を妨げかねないようにも感じられる。近年のスマホ価格に関しては、海外メディア『recode』が考察記事を公開している。その記事では、調査会社GfKがまとめた世界のスマホ平均価格の推移に関するグラフが引用されている(下のグラフ参照)。

画像出典:recode「Why people are buying more expensive smartphones than they have in years」

 グラフを見るとわかるように、2015年から2016年にかけて世界のスマホの平均価格は下落していた。この時期に下落したのは、廉価なAndroidスマホが市場に出回り始めたからだと推測される。しかし、2017年になるとスマホの平均価格は上昇に転じる。そして、2017年は前年比で6%上昇する結果となった。

 2017年からスマホ平均価格が上昇した理由について、同記事はスマホがもはや生活必需品となり、ユーザがよりディスプレイが大きく、より高品質なものを求めるようになったから、と述べている。さらに、iPhone Xの登場がスマホの価格上昇に拍車をかけた、とも指摘している。

 以上の考察を踏まえるならば、広げると7.3インチという大画面を実現するGalaxy Fの価格が1,770ドルであっても、少なくないユーザの支持を得られると考えられる。そして、このスマホに続く各メーカーの折り畳み型スマホも高額であっても不思議ではないだろう。

トップ画像:The Verge「This is Samsung’s foldable smartphone」より画像を引用

吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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