Samsung、折り畳み型スマホ「Infinity Flex」を発表 「折り畳み型iPhone」も2020年に登場か?

Samsung、折り畳み型スマホを発表

 11月7日と8日にアメリカ・サンフランシスコで開発者会議を開催したSamsungは、大方の予想通り、折り畳み型スマホ「Infinity Flex」を発表した。このスマホの発表は、スマホOSの仕様変更を伴うスマホ市場再編の嚆矢となると見られている。

新素材を開発して満を持して登場

 CNETは、7日、Infinity Flex発表の模様を報じた記事を公開した。同スマホ発表に登壇したSamsungの携帯電話マーケティング部門のシニア・ヴァイス・プレジデントであるJustin Denison氏の説明によれば、同スマホを広げた時のディスプレイサイズは7.3インチであり、この大画面を生かして最大で3つのアプリを同時使用できる。

 同スマホの発表に合わせて公開されたプレスリリース資料を読むと、折り畳み型スマホは近年増加傾向にある場所にとらわれずに働く「ノマド」ワーカーに新しい体験を提供できる、とのこと。また、折り畳めるディスプレイを実現するために、新素材を開発した。

 発表の最後では、折り畳み型スマホはInfinity Flexで終わるものではなく、巻けるタイプや伸縮するタイプのディスプレイも開発中である、と同氏は付け加えた。

 同スマホのリリース時期については、テック系メディア『The Verge』が7日に公開した記事によると、「数ヶ月以内」に市場に投入されるようだ。

広がりを見せる折り畳み型スマホ市場

 以上のInfinity Flexの発表では、AndroidのUX部門のリーダーであるGlen Murphy氏も登壇し、Android OSが折り畳み型ディスプレイに対応することを表明した。この表明に関しては、Googleは「Android Developers」というTwitterアカウントでツイートもしている(下のツイート参照)。

 CNETの前出のものとは違う記事では、Androidのエンジニアリング部門のヴァイス・プレジデントDave Burke氏のコメントを報じている。同氏は、様々なAndroidスマホメーカーから折り畳み型スマホがリリースされることを期待している、と述べている。同氏は明言していないが、折り畳み型スマホを開発していると見られるメーカーには韓国のLG、中国のOppo、そしてモトローラの名前が挙げられる。

 The Vergeが先月3日に公開した記事では、Microsoftが折り畳めるSurfaceを開発中であることを報じている。同社のチーフプロダクトデザイナーを務めるPanos Panay氏にインタビューしたところによると、同氏にとって折り畳み型Surfaceは「わたしの赤ちゃんと言って間違いない」とコメントし、その開発を認めた。もっとも、この製品は折り畳み型スマホとは異なる「折り畳み型ノートPC」あるいは「折り畳み型タブレット」のカテゴリーに属するものになるかも知れない。

Appleも2020年に参戦?

 折り畳み型スマホ開発の噂は、AndroidスマホのライバルであるiPhoneに関してもささやかれている。Apple製品専門メディア『appleinsider』が3月23日に報じた記事では、大手金融機関メリルリンチに所属するアナリストのWamsi Mohan氏が、Appleも2020年に折り畳み型iPhoneをリリースする可能性があるとコメントしたことを報じている。同氏は、件の情報をアジアにある複数のApple製品の部品を卸すサプライヤーとミーティングするなかで知った、とのこと。

 同氏のコメントを裏付けるかのように、同メディアは7月10日、折り畳み型iPhoneに関する特許の存在について報じた。その特許文書によると、ディスプレイの折り畳みに関わらない部分はガラスで覆い、折り畳む部分は曲がるような構造になっている。この曲がる構造は、ガラスとポリマーを交互に埋め込んだ層を作ることで実現する(下の画像参照)。

画像出典:appleinsider「Apple still considering foldable iPhones with flexible displays」

 以上のように折り畳み型スマホ市場には、スマホメーカーだけではなくGoogleやAppleと言ったプラットフォーマーも参入すると見られる。このことは、件のカテゴリーのスマホが奇をてらった「変態スマホ」では終わらず、スマホ市場に定着するであろうことを意味しているのだ。

トップ画像:The Verge「This is Samsung’s foldable smartphone」より画像を引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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