“カップルではない”男女ふたり組YouTuber「パオパオチャンネル」が愛される理由とは?

そうした魅力を理解した自己プロデュース能力の高さ

 彼らの魅力は、上記のようにカップルだと見紛ってしまうほどの親密さと息の合いよう、加えてツッコミスキルと自由度の高さなど。それに加えて彼らが凄いのは、そういった自身の魅力を理解し、伸ばしていこうという姿勢にあるのだ。

 動画投稿スタート時は、「カップルなのか否か」論争を巧みに利用して「もしぼくたちが付き合ってデートに行くとしたら」というタイトルの動画や「初めての共同作業やっちゃいました」、「今まで一緒だった2人が遠距離になってしまったら。」など、サムネイルと表題で視聴者の目を惹く投稿を多発。

 また、人気コンテンツである「相方出演拒否」シリーズでは、「ひとりで動画を撮るあーずーと動画外でその姿を見ているぶんちゃん」という構図が、あーずーの自由な発想とぶんちゃんのツッコミスキルの高さを最大限に活かす結果となった。

焼きリンゴをどうしても作りたいと言ったら相方に出演拒否されました。

 ここ最近で、筆者がその自己プロデュース能力の高さに唸らされたのは、「第一回・スクショ大喜利」という動画だ。

 これは、あるお題をTwitter上で視聴者に課し、回答は過去のパオパオチャンネルの動画をスクショして行ってもらうというもの。動画をわかりやすくするためにテロップをつけるYouTuberは少なくないが、こういう2次利用の仕方には素直に驚いた。この企画によって、ぶんちゃんとあーずーのワードセンスの高さや動きのおもしろさを再認識させられただけではなく、これ以降の動画でも視聴者は、「テロップに注目する」という視点を与えられることになる。それは、今後の動画視聴が2倍3倍におもしろくなるということに他ならないのだ。

スクショだけで回答せよ!【第一回・スクショ大喜利】

 常に自分たちの強みを意識して、他のYouTuberにはない動画に仕上げていくことは当たり前のようでいてすごく難しいことだろう。しかしパオパオチャンネルはいとも簡単にそれをやってのけている。新たな魅力を生み出し続け、その魅力を動画によって倍々に膨らませていく彼らの活動に、これからも目が離せない。

■原航平
1995年生まれ。編集/ライター。YouTubeに加え、映画や音楽、ドラマに演劇、漫画など、あらゆるポップカルチャーをむさぼる人生を送るひと。Twitter(@shimauma_aoi

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