『ロックマン』30周年記念ライブレポート 容量の制限から解放されたサウンドの鮮やかさに酔い痺れる
後半のライブパートは世代を大きく変えたセットリストとなっていた。まず初めに、電脳世界と現実世界を舞台にした『ロックマン エグゼ』シリーズ(2001年~/ゲームボーイアドバンス)と、『流星のロックマン』シリーズ(2006年~/ニンテンドーDS)からの6曲をメドレーで演奏。この2シリーズは漫画・アニメ化、玩具商品の発売といったメディアミックスが行われていたことから、幼少期にゲーム以外でも『ロックマン』に親しんできたファンも多いだろう。中でも、『ロックマン エグゼ』のゲーム本編とアニメ版のオープニングである「Shooting Star」は人気が高く、今回のアレンジではバイオリンの軽やかな音色がファンの耳と記憶に残ったはずだ。
さらに『ロックマンX』におけるもう一人の主人公とも呼ぶべきキャラクター、ゼロを主体にした『ロックマンゼロ・ZX』シリーズのメドレーが続き、いよいよライブも大詰めになったところでトークパートに移行。「プレイヤーたちにおける『ロックマン』の存在」に話題が移ると、土屋氏は「『ロックマン』ってそれぞれの世代のゲーマーにとても重要な思い出を残してると思うんです。青い少年の姿をしたロボットがヒーロー像を体現していますし、すべての『ロックマン』がその通りでいてくれるゲームを愛してくれる人にとってのヒーローが『ロックマン』でいいじゃないかという思いがします」とコメントし、『ロックマン』はこうでなければならないという定義はないという見解を示した。
ライブパートの終盤は、1993年にスーパーファミコンで発売された『ロックマンX』シリーズから、「オープニングステージ」(『~X』) 、「エクスプローズ・ホーネック ステージ」(『~X3』より)「シグマ 1st」(『~X4』)の3曲をメドレーで畳みかけると、、7月26日に発売される『ロックマンX アニバーサリー コレクション』から新曲の「Give It A Shot」を先行披露。2体のボスと同時に戦う新モード「Xチャレンジ」用のBGMで、スラッシュメタルのような性急さがありつつ、ギターとキーボードによる泣きメロのユニゾンは、コントローラーを握る手をより熱くさせてくれることだろう。
トリを飾ったのは『ロックマンX5』から「X VS ZERO」。ブリッジミュートを効かせたギターリフとシンセサイザーのメロディが持つ疾走感は、主人公・エックスとゼロによる一騎打ちを引き立てており、『ロックマンX』シリーズの中でも人気が高い一曲でライブの幕を閉じた。
その後、客席から沸きはじめるアンコールの声にバンドメンバーが再登場。さらに2曲を披露するというファンサービスを提供し、最後の最後まで『ロックマン』ファンを楽しませた。
30年という歴史の中で数多くのシリーズを展開した『ロックマン』だが、それゆえ世代によって遊んだタイトルに偏りが生じてしまうのは仕方のないことだろう。だが、土屋氏からもコメントがあったとおり、“こうでなければならない”という定義はない。なぜなら、10月に発売される『ロックマン11』は、誰にとっても「新作」であるからだ。今回のライブを通じ、これからも『ロックマン』はゲーマーたちのヒーローであってほしいと思った。
(取材・文=クドータクヤ)
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