YouTube音楽コンテンツ担当者が明かす、プラットフォームとしての役割とチャート提供の意義

YouTube音楽コンテンツ担当者が明かす、プラットフォームとしての役割とチャート提供の意義

 アーティストがMVを投稿するプラットフォームを提供するだけでなく、クリエイターが共に学び、交流し、創造する「YouTube Space Tokyo」の運営、ライブイベントの開催など、音楽に関する取り組みに積極的なYouTube。5月からはYouTube上の注目の新曲や楽曲ランキングなどをまとめた「YouTubeチャート」の国内提供もスタートした。リアルサウンドテック編集部では、YouTubeで音楽コンテンツパートナーシップマネージャーを務める佐々木舞氏を直撃。YouTubeチャートの意義や、YouTubeをアーティストがどう活用すべきかなどについて、じっくりと語ってもらった。(編集部)

今流行っている動画が共通のトピックに

ーー先日、日本国内でも「YouTube チャート」がスタートしました。これにはどんな意義があるでしょうか。

佐々木舞(以下、佐々木):チャート自体はUSとUKで先行してスタートしていたのですが、今回各国のチャートを初めてローンチし、日本版もスタートしました。これまでは、ユーザーごとの視聴履歴に応じてアルゴリズムで動画をレコメンドするものがメインでしたが、再生回数に基づく客観的に分かりやすいチャートも提供することによって、今、YouTube上で何がその国々で流行っているのかを見ていただけるようになりました。

――特に「急上昇」の項目がトレンドを反映していて面白いと思いました。

佐々木:YouTubeのメインアプリにもある“急上昇”は1日に何回か、数時間ごとにリフレッシュされていて、音楽に限らず、YouTube全体でその国々で今、どんな動画が見られてるかが分かるようになっています。例えばテレビだと、翌日にその番組の話題で友人と盛り上がることがあると思います。同様にYouTubeでも、“急上昇”している動画を見ていただくことで、今流行っている動画が共通のトピックになり得るのではないかと考えています。

――日本版チャートと海外チャートの違いはありますか。

佐々木:基本的には同じです。ただ、ミュージックビデオランキングは、日本独自の傾向とも言えるプロモーション用のショートバージョンは対象外で、フルバージョンの映像を対象にしているので、ランキングにその影響はあるかもしれません。

ーー海外のMVはフルバージョンが一般的なんですね。

佐々木:例えばアメリカでは、マーケットがデジタル化しています。タワーレコードも本国であるにもかかわらず、もうアメリカにはない。一方、日本では、売り上げのシェアでもパッケージが主流。そのプロモーションとしてショート尺やテレビスポット映像を上げられることも多々あります。しかしYouTubeチャートでは、あくまで“YouTube上での音楽体験”をメインとしているので、プロモーション用の映像ではなく、フルバージョンだけを対象にしているんです。

ーー「楽曲ランキング」「ミュージックビデオランキング」「アーティストランキング」の項目がありますが、それぞれどのように集計されているんですか。

佐々木:3つとも週間ランキングで、「ミュージックビデオランキング」はシンプルに、フルバージョンのミュージックビデオを対象にしたランキングです。「楽曲ランキング」と「ミュージックビデオランキング」の違いは、YouTubeの特徴であり、すごく面白いところの一つだと思います。YouTubeには公式チャンネルでアップロードされた以外のユーザーコンテンツやファン動画も多い。例えば“バブリーダンス”は、映像に出ているのは高校生ですが、楽曲自体は荻野目洋子さんの「ダンシングヒーロー」などが使われています。ピコ太郎さんの「PPAP」も世界中のユーザーが真似て動画をアップしていました。YouTubeには著作権管理システムのコンテンツIDがあり、権利者がそれを把握して、原盤を使用した動画の再生回数も紐づいて管理しています。そうやって管理されたユーザー動画での楽曲の再生回数も含まれているのが、「楽曲ランキング」です。ユーザー動画がたくさんあがっていると、「ミュージックビデオランキング」にはランクインしていなくても、「楽曲ランキング」でランクインすると、ということがあり得ます。

ーー「アーティストランキング」はいかがでしょう。

佐々木:1アーティストに紐づいている公式ミュージックビデオ、ユーザー動画、ライブ映像など、すべての動画の再生回数を合算しています。YouTube上でのアーティスト単位でのインパクトの大きさ、再生回数の多さを示しているランキングです。

ーーアーティストにとって、YouTubeはどんなプラットフォームだと思いますか。

佐々木:ライブやインタビューの中で、アーティストもYouTubeの影響力を感じてくださっているんだなと思う瞬間も増えています。例えば、ショーン・メンデスの数年前のコンベンション。まだその時点で日本ではフルアルバムは出ていなかったのですが、観客が合唱している様子を見て「出たばっかりの曲だけど、歌えるのはYouTubeを見ているからだよね」とコメントしていて。YouTubeを通して、リリース前の楽曲でも世界同時に聴いて合唱してくれているのは嬉しかったですね。

 また、YouTube Space Tokyoでパフォーマンスした、ケイシー・マスグレイヴスも印象的でした。初来日でしたが、60〜70人くらい観客が集まって、 しかも合唱していた。彼女の音楽は、カントリーというなかなか日本に馴染みのないジャンルですが、YouTubeというグローバルなプラットフォームがあるからこそ、日本でもイベントを開催してサポートできるし、ファンも日本でパフォーマンスを観ることができる。参加したたくさんの人が彼女のCDを持ってきてサインをもらっていました。そういうグローバルリーチもアーティストにとってはメリットなんじゃないかな、と。個人的には、海外のYouTube音楽チームに日本のアーティストをプッシュして、現地でサポートしてもらって新しいマーケット開拓ができたらなと思っています。

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