「VIMAR」の斬新性は、普通のイヤホンやヘッドホン、ステレオスピーカーで楽しめることと、映像と音楽がリンクしていることだ。これまでにも、Blurのデーモン・アルバーンが率いる覆面バンド、Gorillaz「Saturnz Barz」、ロンドンに本拠地があり、DJプレイなどを配信しているBoiler Roomが発表している動画、日本のアーティストであれば、Perfume「Everyday」といった360度動画が発表されてきたが、それらはいずれも映像メインであった。また、立体的な音楽という点では以前からバイノーラル録音などの技術があるが、これは音だけに特化したものである。映像と音楽の両方に“360度”の世界を吹き込んだ「VIMAR」は、従来にはない、サウンド形態の新しい進化と呼べるものだ。最近ではauによる「音のVR」なども登場しているように、映像と音楽双方の“360度”に注目が集まっている。「VIMAR」もその一例と言えるだろう。

　「VIMAR」の公式サイトによれば、「VIMAR」は未だ開発段階であるようだ。それでも、Utae「VICTORIA」には、次世代のMVを変革させるかもしれないと思わせるだけの魅力を備えている。今後のVRサウンドの新たな標準になりえる作品だ。「VIMAR」を使用した、さらなるVRサウンドの動画が発表されるのが待ち遠しい。

■吉川敦
フリーライター。音楽と言葉が大好物。憧れの人物はアインシュタインとエルキュール・ポアロとアンディ・ウォーホル。

■配信情報
「Supersonic」
配信：5月16日（水）
Spotify、iTunes等で配信中

VIMAR公式サイト