ジェスチャーで演奏が可能にーー“魔法の指輪”Waveが示す新しい音楽体験

 人類が獲得した文化の中でも、最も古くから存在するのは「音楽」だと言われている。抑揚を持った発声に始まり、3万6000年前の骨を利用した管楽器さえ出土している。手を打ち鳴らすだけの荒削りのリズムはきっと、メロディーと呼ぶにはあまりにも拙い原初の音楽だったはずだ。その後、西洋で音楽理論が確立し様々な楽器が生まれ、現代においても多くの音楽が新たに生み出されている。ただ、演奏における根幹はそう大きくはアップデートされてはいない。アイスランド生まれのひとつのプロダクトが、そんな演奏の歴史を前に進めるきっかけになるかもしれない。

北欧生まれの魔法の指輪 Wave

Wave

 アイスランド出身の学生が立ち上げたひとつのスタートアップ企業がある。それがGenki Instruments社。同社が生み出したプロダクト・Waveは演奏に新しい体験を与えてくれる指輪型の音楽演奏デバイスだ。

 3月の初めに「Indiegogo」にてクラウドファンディングを開始し、数日足らずで目標額の300万ドルを集め注目された。あらかじめ特定のサウンドにジェスチャーを割り当てた状態でWaveを装着した手を振ったり、叩いたりすることでBluetoothによりMIDI信号を送信。直感的な演奏を可能にする。

音楽表現は進化する

 Waveを指に装着し、手を上下に振れば「チルト」、左右に水平移動させれば「パン」、手首をひねるように動かせば「ロール」、というようにジェスチャーに伴い音色を変化させることができる。さらに装着した指で何かを「叩く」ことでも演奏可能だ。ギターやキーボードなどこれまで「弾く」だけだった楽器の演奏も、指先につけた魔法の指輪が加えるエフェクトによって、新たな可能性を見せている。既存の楽器の演奏がテクノロジーによってあり方が変わる様は、音楽表現のステージを「2.0」にアップデートしたとも言える。

演奏は身体を超え、3.0へ

 ゲームにおける表現はこれまでモニターの中にしかなかったが、VRやARのように目の前にリアルな仮想空間を生み出し、現実を拡張して自らが没入する形で新たな体験を獲得した。おそらくWaveのようなデバイスは“楽器演奏における拡張性”に、新たな体験性を与えるはずだ。これは現在までの最先端ではあるが、テクノロジーが示す未来の演奏の一つの通過点に過ぎない。もう少し先の未来には、Waveを装着する指もキーボードを弾く両手も必要なくなっている可能性がある。

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