イギリスで国中の教会施設にWi-Fi設置へ デジタルインフラの公共性を考える

 イギリス政府は英国国教会と協定を結び、教会の尖塔を活用して携帯の電波やWi-Fiの接続を強化すると発表した。英国国教会の有する国中の教会に受信アンテナやファイバーケーブルを取り付け、地方部の電波接続を向上させるようだ。

 先月18日、英政府と英国国教会は、携帯の電波やWi-Fiの接続性を強化するために教会施設を利用することに合意したと発表。英国国教会は1万6千ヶ所に教会を持ち、そのうちの65%は地方の田舎に位置する。それらの尖塔に無線送信機、受信アンテナ、ファイバーケーブルを設置することで、電波受信地域を拡大し、地方部の悩みであった接続の悪さを解決することができるという。

 THE VERGEによれば、デジタル・文化・メディア・スポーツ相(DCMS)のマット・ハンコックは「この協定を結ぶことで、今まで届くことの難しかった地域の電波を改善できる。15世紀の建物でも国民が未来に適合する手助けをして生活を向上させることができる」とコメント。イングランドのチェルムスフォードとノリッチの教会は以前から教会施設を活用し、地方の電波接続改善に協力していた。ノリッチの主教グラハム・ジェームスは「私たちの教会はまさに国民のネットワークだ。それをクリエイティヴに活用し、新たな繋がりの在り方として発展させることで、さらに地域に貢献できる」と今回の合意を歓迎している。

 またチェルムスフォードの主教スティーブン・コットレルは「地方部の教会は常にコミュニティーの中心となる場を提供してきた。教会が電波向上に取り組むことで、地方部の抱えていた2つの大きな問題「孤立化」と「サステナビリティ」を解決することができる」と語った。すでに英国内の120以上の教会が、ブロードバンドや携帯の電波を提供しているという。

 今回の協定で定められた規則によると、教会施設にデジタルインフラを設置する際に、教会の歴史上、建築上の重要な特徴に影響を与えてはならないとのこと。

 かつて教会は礼拝だけではなく、人が集まることで交流や情報交換がおこなわれる地域ぐるみのコミュニケーションの場であった。今の若者はWi-Fiのある場所に集まる。教会にデジタルインフラを導入することで人が集まり、また再び教会が活発な交流の場としての役割を担うかもしれない。

 もし日本が同じような取り組みをおこなうとしたら、寺院になるだろうか。まだ公共Wi-Fiが少ないと言われている日本なので、国内ネットワーク強化のために全国に7万5千以上あるといわれている寺院にアンテナとWi-Fiを導入できたら面白そうだ。いずれにしても、国内各地に点在する社会的施設との協調は、電波の問題を解決するためのヒントになるかもしれない。

■小林一真
1995年生まれの上智国際教養学部学生。インディーエモバンドBearwearのボーカル。たまにライブカメラマン。就職先探し中
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