SHELTERの記事・ニュース・画像一覧

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80年代後半のニューヨーク・ハードコア・シーンを代表する、ユース・オブ・トゥデイのヴォーカルだったレイ・キャポが始めたシェルター。同じく元ユース・オブ・トゥデイのギターのポーセルも深く関わることが多いバンド形態ではあるが、基本的にはレイのプロジェクトだ。ユース・オブ・トゥデイの末期には、レイはシェルターの1stアルバム『Perfection Of Desire』のレコーディングをしており、その翌90年にリリース。ファンクやラップも取り入れたサウンドで、昔からのレイのファンの度肝を抜いた。
音楽以外のシェルターの特徴としては、ハレ・クリシュナの考え方を大きく反映していることだ。宗教との関わり方で波紋も呼んだが、レイとしてはスピリチュアリティの面で鼓舞されたようであり、"世の中に不満をもっているのなら、まずは自分からしっかりしないと"という、昔からのポジティヴな考え方の延長なのだ。また、特に初期の方はアルバムの音声面でもハレ・クリシュナ関係のものが挿入されていた。ただし、そういった宗教色は年を追うごとに薄れていく。
サウンド的には年を追うごとにメロディアスになっていき、メロディック・パンクといえる曲がどんどん増えていく。これぞハードコア!という勢いの曲もあるが、ユース・オブ・トゥデイ時代のように激昂して説教するような調子ではなく、諭す感じなのだ。ただし、音楽的に禁じ手がないのは不変である。ブラック・サバス、ビートルズ、サイモン&ガーファンクルの曲もカヴァーしているほどだ。親しみやすい曲と研ぎ澄まされた音、というのがシェルターなのである。
00年に『When 20 Summers Pass』をリリースした後に活動停止をほのめかしていたが、ファンの熱望などによりレイは活動続行を決意。その翌年に出した『The Purpose, The Passion』でも、放つオーラは健在なのであった。(行川和彦)