『VIVANT』はなぜ“粗さ”を超えて熱狂を生み出せたのか 巧みなクリフハンガーと物語の課題

ただおもしろいことに、第2シーズンの放送期間中にSNS上で散見していた大胆不敵な“考察”に関してはことごとく空振りに終わっている。たとえばリュウ・ミンシュエン(堺雅人/一人三役)が途中から乃木(堺雅人/一人三役)と入れ替わっているという見立てや、シャキ城での作戦パートと野崎(阿部寛)たちが捕えられたパートの時間軸がずれているといった見立てであったり。こうした“大どんでん返し”になりかねないところは考察班の思惑通りにいかず、代わりに「やっぱりそうだよね」となるような部分(ジャミーンが最後のキーパーソンとなる点や、ノゴーン・ベキ(役所広司)の生存など)は比較的考察通りに運ばれる。そう考えると、詰めが甘くても意外なほど奇をてらわないドラマといえるかもしれない。

そういえば、ちょうど“ベキ様”こと役所広司が最近主演を務めたNetflixドラマシリーズ『俺のこと、なんか言ってた?』のなかで、こんなシーンがあった。鳴物入りで始まったミステリードラマの第1話の時点から考察が白熱し、すぐに犯人が誰だか当てられてしまう。誰も予想できない人物を犯人にしようと思っていた制作側は、慌てて脚本を書き直す羽目になるのである。さすがに放送開始前に撮影が終了している『VIVANT』でそういうことはないとは思うが、考察で出されたところを避けて編集を行ない、結果的に予定より短い話数になって詰めも甘くなったのだとしたら。ある意味で“視聴者参加型”の時代に即した作品として、それはそれで興味深い。
そんな与太話はさておき、やはり気になるのはあと1話で本当に物語がきれいに収束できるのかということである。もちろん“伏線”だと言われているところは山ほど残されているが、最終的に回収されなければ伏線でもなんでもなかっただけなので、さほど気にするところではない。それでも第1シーズンが終わるころに福澤監督は「3部作構想」を明言していた。今回の第2シーズンが“第2部”に当たるならば、シンシーとの戦いは片付けられなければならないし、それを上回る強大な敵の存在が見えてきてもいい頃合いだ。はたしてそれを、最終話ですべて描ききれるのかどうか。

もちろん続きをやるとなれば、先立つものが必要である。話題性の維持、作品のスケール感の増幅、そして1話1億円以上とも言われる制作費をペイできる公算など(そもそもテレビドラマの収益化は頭打ちになりかねないだろうが)。もともとこの『VIVANT』というプロジェクトは、国内ローカル向けが当然だったテレビドラマにおいて、配信サービスの台頭で海外からも即時性をもって観られる機会が生まれ、そこに目を向けて挑んだものであったはずだ。結果的に海外からの評判はあまり聞かない上、やや右傾的な作劇がそれを邪魔している可能性も否めないのだが、少なくとも国内のドラマの可動域を格段に広げるものとなったことは言うまでもないだろう。まずはこの第2シーズンを良きかたちでまとめ、その続きが本当の意味で外に向いたものになることを願いたい。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2026/08/post-2507024.html
■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、宮下今日子、オーム・タナパック、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs






















