『どこきみ』土屋神葉が語る“セリフで描かれていない”人間関係の大切さ 岡本信彦との裏話も

10月9日より公開中のアニメーション映画『どこよりも遠い場所にいる君へ』。原作は、2025年に『カフネ』で第22回本屋大賞を受賞した阿部暁子が2017年に刊行した、少年少女の揺れる想いと秘密が複雑に絡み合う青春小説だ。
豊かな自然にあふれた離島・采岐島の少年・月ヶ瀬和希と、1974年から来たという謎の少女・七緒との出会いをきっかけに、ひと夏の物語が紡がれていく。
とある理由から和希のことを気にかけている同級生・尾崎幹也を演じるのは、『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX』シュウジ役などで知られる土屋神葉。飄々とした性格の影に潜んだ幹也の複雑な感情を、どのように声にしていったのか。敬愛する岡本信彦との掛け合いに触れながら、演技に込めた思いを明かした。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
“セリフで描かれていない”人間関係

——幹也の内面や行動原理はなかなか明かされないまま物語が進行していきますが、土屋さんは幹也はどういうキャラクターとして見られてほしいと思いながら演技をしていましたか?
土屋神葉(以下、土屋):和希の“乳母”などと揶揄されるキャラクターなので、どこか和希の保護者のような立ち回りを意識していました。ただ本当の保護者だったら自分の「息子」のことを理解しているというアピールをそこまでしないと思うんですが、幹也は普段から「この人のことを自分は知っている」「この人はこういう性格なんだよ」と本人の代わりに周りに提示して、采岐島にやってきた孤独な和希を守ろうとしている。画面では描かれてはいないけれども、「普段からこうなんだろうな」ということがセリフの中で切り取られているという解釈で演じていました。だからどこか影はあるんですけど、その影があるのは一瞬で、それ以外は基本的には思いやりのある軽いノリの男の子だというふうに見られたいなと思っていました。

——作品を観ていて、幹也と和希は普段からこういう関係なんだろうなという雰囲気を感じました。
土屋:やっぱりセリフで描かれていないところを想像しないと、特に映画作品のアフレコは本当にあっという間に過ぎ去っていくので、一瞬一瞬のシーンごとに気持ちを切り替えて声で演じられるかどうか、早いスピードに振り落とされないようにという意識は大切にしています。

——土屋さんは、脚本では描かれていない部分の人物像をどのようにイメージしていますか?
土屋:それぞれのキャラクターのドラマが最初はどんな状態で始まっていて、物語の途中でそのキャラクターはどう変わるのか、「このキャラクターってこういうときこの言葉の返し方するんだ」とかいったことを意識しています。幹也は最初、結構自分勝手な人間だと思われるかもしれないなと感じたんですね。だから演じるうえでは彼の真心、本当に和希のことを心配してついてきたんだというところがオーディションの中でもポイントになったと思っていました。自分とは何者かということを表すシーンにおいて、どういう語調でセリフを組み立てていくのかによって、しっかりと誰かを支えたいと思っている人、根っこから他者を大切にしている人だと感じてもらいたいなと思って演じていました。


















