『Tシャツが乾くまで』愛ゆえに生まれる“咲子”蒼井優の苦しさ “心の証明”をめぐるすれ違い

「どうして2人は不倫じゃないって言い切れるんですか? 僕と園田さんのことは、あんなに疑っておいて」

 人の感情は証明できない。それでも誰かと生きるなら、見えない心を相手に見せようとしなければならない。「証明できない感情」と「それでも説明を求めてしまう愛情」の矛盾の間で、人はどこまで相手の言葉を信じられるのだろうか――。

 金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)第6話。ふいに目の前に現れた充(松山ケンイチ)に、咲子(蒼井優)はどうリアクションしていいのかわからない。待ち続けていた人が帰ってきたのだから、そこにあるのは喜びのはずだった。けれど、彼女の中に湧き上がったのは、そんな単純な感情ではない。

 なぜ長野行きのバスに乗っていたのか。一緒に乗ったあずさ(夏帆)とはどんな関係だったのか。そして、あのバスの事故の後、どうして1年も姿をくらましていたのか……。充がどんな言葉を尽くしても、咲子はどこか納得することができない。そんな確信だけが渦巻く。
愛しているからこそ、相手の意志を尊重したいと思う。相手が一緒にいたい人と行動し、行きたい場所に行き、気が済むまで一人で過ごしてもいい。そう思う反面、愛しているからこそ、そこに自分という存在が少しでも気にならなかったのかと苦しくなる。

 相手が自分を考慮せずに行動したことそのものが、どんなに言葉を尽くしたとしても納得できるようなものではないのだ。しかも、充と咲子の間には「言いたくないことは言わなくていい」という約束があった。相手を思いやるために交わされた約束が、2人の間を隔てる壁になっていく虚しさとなって立ちはだかる。

 充は、あずさとは「第三金曜日にコインランドリーでおしゃべりをするだけの仲」だと言った。そこには恋愛感情もなく、不倫関係でもなかった。コインランドリー以外の場所で会ったのは、あの事故の日が初めてだった。バスに乗ったのは、充の両親に会いに行くため。疎遠だった両親に会うのに心細さを感じていた充に、あずさは付き添っただけなのだ、と。

 しかし、咲子も樹生(中島歩)もすんなりとは飲み込めない。樹生は思わず「無理ありますよ。大人の男女が、お互いパートナーに黙って、毎月決まった日に決まった場所で落ち合って。最終的には疎遠の両親に会いにいくようなイベントに同行させて。それで深い仲じゃないって」と詰め寄る。大人だから冷静に話を聞こうとは思いつつも、その言葉は次第に熱を帯びていく。
 
 一方で、疑いをかけられる充としても、「なかったこと」の証拠を出すことはできない。「ないことを証明する」のは、いわゆる“悪魔の証明”だ。どんなに言葉を並べても、そもそも納得することができない咲子と樹生にとっては、むしろ自分たちにとって腑に落ちる物語がそこにあったほうが救われるのかもしれない。

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