要潤が明智光秀役で示したキャリアの集大成 『豊臣兄弟!』を代表作に変えた圧巻の演技
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第29回「天下への道」で描かれるのは、秀吉(池松壮亮)と光秀(要潤)の軍が激突する「山﨑の戦い」。敗北を喫した光秀は落ち武者狩りに遭い落命したと言われている。つまりは、第29回が光秀を演じる要潤にとってのラストの回となるということだ。
「本能寺の変」を起こす謀反人としての冷酷で野心家な当初のイメージから、長谷川博己が演じた大河ドラマ『麒麟がくる』での誠実で、正義感が強く、温厚な印象が形成されている明智光秀。『豊臣兄弟!』での光秀像は、足利義昭(尾上右近)と織田信長(小栗旬)との板挟みに遭い、時に自身の意見を押し殺しながらも、使命を全うする。忠誠心が強いからこその反動、つまりは怒りや恨みも大きいことが「本能寺の変」へと繋がっていくという描き方だ。
初登場は第10回「信長上洛」。義昭を従者としてカモフラージュするが、その存在を信長には見破られてしまう。刀を向けられた義昭を咄嗟に守る光秀の眼差しに、彼の忠誠心が表れている。光秀の心が大きく揺れ動くことになるのが、比叡山焼き討ちのシーン。信長から命じられ女子供を虐殺した光秀。逆らえば自分が信長にやられてしまうかもしれない。それに義昭の使命も果たすことができない。全ては恩人の義昭のため。しかし、光秀は義昭から「いつから外道に成り下がった!」と叱責されてしまい、迷いが生まれる。
比叡山焼き討ち、義昭の京からの追放、信長の気変わりにより中断された四国攻め。さらに義昭に扮した信澄(緒形敦)からの密書、饗応の場での信長からの無慈悲な暴行といった追い詰められるだけでなく、騙されてもいた光秀に、止めの一撃を刺したのは義昭だった。信じていた心の支えである義昭から「もうわしを巻き込むな」と見放され、光秀は慟哭する。信澄が書いた義昭の御内書を握りつぶした光秀は「これは上意である。敵は本能寺にあり!」と謀反を宣言した。
ここまでじりじりと溜まっていた怒りのゲージを爆発させた義昭への愛憎入り混じる叫びと落胆。印象的なのは光秀を演じる要潤の目の演技。肩を落とした立ち姿や声色以上に、目を丸くし呆然とする光秀の表情がどれほどの失望なのかを伝えている。
7月11日放送の『土スタ』(NHK総合)にゲスト出演した要は、台本のセリフの語尾に「…」が多かったことを明かしている。織田家臣の中でも一歩引いている立場として、表情や佇まいでそれを演じており、織田家臣キャストで会食があっても要は役作りのため、あえて参加しなかったという。秀吉を演じる池松壮亮は、「本能寺の変」の後の共演シーンで、「今まで貯めていたものが思いっきり出ていて、とても素晴らしかったです」とコメントしているが、第29回では光秀としてのさらなる感情表現が見られるかもしれない。
信長を演じる小栗旬とは、現在公開中の映画『キングダム 魂の決戦』でも秦国の騰(要潤)と趙国の李牧(小栗旬)とで敵対関係にある“腐れ縁”。8月21日には出演する劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』の公開が控えており、『豊臣兄弟!』から“退場”後も要の活躍は続いていく。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
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