佐々木蔵之介が第一線で輝き続ける理由 『一次元の挿し木』『ラストノート』で際立つ振り幅

 7月期のゴールデン・プライムタイムドラマ『ラストノート』(フジテレビ系)と『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)の2本にメインキャラとして出演している佐々木蔵之介。さらに、7月19日からスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』には主演を果たすなど、佐々木の勢いはとどまることを知らない。さまざまなタイプの役を演じこなす彼の“振り幅”は圧倒的で、今夏も視聴者を魅了している。

 『ラストノート』では、樋口澄晴(寺西拓人)の父親・樋口眞澄を演じている佐々木。眞澄は早くに妻を亡くし、男手ひとつで澄晴を育ててきた。かつては、建設会社を経営していて、羽振りも良かったが、会社が倒産し、すっかり落ちぶれてしまう。現在の職場で騒ぎを起こして警察沙汰になるなど、転落した人生を送っている眞澄は、澄晴に対して自分の理想を押しつけ、支配的に振る舞うなど、“毒父”と化し、澄晴を苦しめている。

『一次元の挿し木』©読売テレビ

 『一次元の挿し木』では、七瀬悠(山田涼介)の義父・七瀬京一を演じているが、『ラストノート』の眞澄とは対照的なエリート役だ。大手製薬会社「日江製薬」の主幹研究員であり、代表取締役を務める京一。冷静かつ合理的な性格だが、冷徹な雰囲気を醸し出しており、視聴者からは「物語の真相を握る黒幕なのではないか」という考察がすでに浮上している。

 2つのドラマで、全くタイプの異なるキャラクターに扮している佐々木は、この2本だけでも大きな“振り幅”を感じさせる。これは、佐々木が役者として求められ続ける唯一無二の強みではないだろうか。『マイホームヒーロー』(2023年/MBS毎日放送・TBS系)では、愛する家族を守るために娘の彼氏を殺し、命がけで罪を隠し通す父親を熱演し、『浮浪雲』(2026年/NHK BS・NHK BSプレミアム4K)ではタイトルロールに扮し、飄々とした主人公を快演。

 シリアスな作品からコメディまで自由自在に演じ分けると同時に、主演でも助演でも存在感を発揮している。演じる役柄も、誠実な父親や、熱血漢の刑事、狂気をはらんだ謎めいた人物、冴えない中年男性など多岐にわたっていて、どこにでもいそうな会社員を等身大に表現したりもする。舞台出身の佐々木は、優しさと鋭さを兼ね備えたよく通る声も魅力で、長身の立ち姿はダイナミックなため、群像劇でも目を引く。

『光る君へ』佐々木蔵之介の“器の大きさ”が安らぎに 宣孝がまひろの夫となるのも納得

吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー…

 ちなみに、筆者のお気に入りは、NHK大河ドラマ『光る君へ』(2024年)の藤原宣孝役だ。主演の吉高由里子が演じるまひろ(紫式部)に熱烈な求婚をし、彼女が藤原道長(柄本佑)を想い、道長の子を産んでも、我が子としてかわいがった宣孝。そんな宣孝を好演した佐々木は、どこか色気も感じさせ、視聴者から愛されるキャラクターを見事に演じ切った。

 映画への出演も多く、主演を務める『超高速!参勤交代』シリーズ(2014年~)と『嘘八百』シリーズ(2018年~)は、どちらも非常に面白い。時代劇コメディの前者では、体を張ったコミカルな演技で観客を楽しませ、悪党をこらしめる痛快コメディの後者でも、スカッとした気分にさせてくれる。京都出身の佐々木は、関西弁で演じる役柄の際は、軽妙でテンポの良いコメディ演技を披露しているように見え、観ている側も、よりリラックスして楽しめて心地良い。

『ラストノート』©︎フジテレビ

 2023年に出演した映画『ゴジラ-1.0』は、第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したほか、国内外で数多くの賞に輝いた。本作で、温かい人柄の頼れる秋津淸治艇長を演じた佐々木は、共演者と共に世界中で幅広く知られる俳優となった。佐々木は、11月3日公開予定の『ゴジラ-0.0』への続投も発表されているので楽しみだ。

 『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』(2025年)ではキーパーソンとなるキャラクターを鋭く体現し、『名無し』(2026年)では執念深く無差別殺人事件を追うベテラン刑事を熱演。両作とも名バイプレイヤーぶりを遺憾なく発揮し、強い印象を残した。2026年は、すでに主演映画『幕末ヒポクラテスたち』も公開され、待機作には『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』と『本当にあった話(の話)』も。2027年には、シリーズ最新作『超高速!参勤交代 フルスロットル』の公開も予定されている。

 『ラストノート』、『一次元の挿し木』、そして、科学では説明不能な連続殺人事件に挑む警視庁捜査一課の刑事を演じている『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』。放送中の3本のドラマでの佐々木の名演に注目しつつ、続々と公開される映画にも期待したい。

■放送情報
木曜劇場『ラストノート』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜22:54放送
出演:内田有紀、寺西拓人、坂井真紀、桜井日奈子、草川拓弥、徳井義実、佐々木蔵之介ほか
脚本:的場友見
演出:相沢秀幸、中前勇児
プロデュース:三竿玲子
主題歌:椎名林檎「裸」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/lastnote/
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公式Instagram:https://www.instagram.com/lastnote_fujitv/
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『一次元の挿し木』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:山田涼介、白石聖、木戸大聖、土居志央梨、和田正人、笠原秀幸、猪塚健太、小橋めぐみ、藤井美菜、田畑志真、堀田真由、松下由樹、吉原光夫、正名僕蔵、小手伸也、鈴木保奈美、佐々木蔵之介
原作:松下龍之介『一次元の挿し木』(宝島社)
脚本:高田亮、清水匡
演出:城定秀夫、頃安祐良、日髙貴士
チーフプロデューサー:中間利彦(読売テレビ)
プロデューサー:中山喬詞(読売テレビ)、安部祐真(読売テレビ)、清家優輝(ファイン)、岡田健人(ファイン)
制作協力:ファインエンターテイメント
製作著作:読売テレビ
©読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/ichijigen_drama/
公式X(旧Twitter):@ichijigen_ytv
公式Instagram:@ichijigen_ytv
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