山下敦弘&呉美保、映画『ヌーヴェルヴァーグ』を語り合う 2人の映画作りの“原点”とは
7月10日に公開されるリチャード・リンクレイター監督作『ヌーヴェルヴァーグ』の一般試写会「本番ぶっつけトークショー」が7月1日に都内で開催され、映画監督の山下敦弘と呉美保が登壇した。
本作は、『スクール・オブ・ロック』、『6歳のボクが、大人になるまで。』、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』から続く『ビフォア』シリーズで知られるリンクレイター監督の最新作。1959年、ジャン=リュック・ゴダールと彼の長編デビュー作にして、ヌーヴェルヴァーグ=“新しい波”と呼ばれる当時の革新的な映画運動の記念碑的作品となった『勝手にしやがれ』製作の舞台裏を、仏映画界を代表する映画作家たちとの活気ある交流とともに描いた青春物語だ。
試写会は、「脚本なし、リハなし、即興演出、ゲリラ撮影」で制作された『勝手にしやがれ』にちなみ、一般客と共に映画を鑑賞したゲストがそのまま登壇する形式で行われた。登壇した山下と呉は、同時期に大阪芸術大学で学び、映画監督を志した同級生でもある。
山下は冒頭、「僕、ゴダールをほとんど観たことがなくて、なぜここに呼ばれているのかと思いました」と笑いを誘いつつ、「でも、『勝手にしやがれ』を観たくなりました」とコメント。呉は「めちゃくちゃ面白かったです」と興奮気味に語り、本作の映像表現に惹き込まれた様子を見せた。
劇中で描かれるゴダールの即興的な撮影スタイルについて、山下は自身の『リンダ リンダ リンダ』撮影初日を回想し、「35ミリでの商業デビューのような作品で、気合も入っていたんですけど、初日はペ・ドゥナさんがグラウンドを歩くだけのシーンで、1発OKにしちゃって。3時か4時ぐらいには終わっちゃった」と当時の心境を明かした。呉は、20日間という短期間で台本があるかないかという状態で撮影が進むゴダールの現場に驚きつつ、「みんな文句は言うけど、たぶんゴダールに魅了されている。ユーモアと才能があったから、ついていけたんじゃないか」と分析した。
また、2人は“映画を作り始めた頃”の感覚にも話を広げた。山下は「最初に映画を作り出した頃って、映画にものすごく憧れて作る。まだ作ったことがないから、映画って魔法がかかっているような、特別なものに感じる」と語り、本作が呼び覚ます原初的な映画への憧れに触れた。呉も「この瞬間には戻れないんだな、というノスタルジーな気分になった」と話し、自身の創作にも通じる感覚を見出していた。
最後に呉は、「若い人が、目の前の面白いものだけに目を向けて突っ走る感じが、この映画の良さ」と本作を表現し、「映画好きだけでなく、若い人たちがこの映画に触れて、時代の流れや映画史を掘り下げるきっかけになれば」と期待を寄せた。
■公開情報
『ヌーヴェルヴァーグ』
7月10日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:ギヨーム・マルベック、ゾーイ・ドゥイッチ、オーブリー・デュランほか
監督:リチャード・リンクレイター
プロデューサー:ミシェル&ローラン・ペタン
脚本:ホリー・ジェント、ヴィンス・パルモ
協賛:Chanel
配給:AMG エンタテインメント
2025/フランス/106分/仏語・英語/5.1ch/1:1.37/モノクロ/原題:Nouvelle Vague/日本語字幕:井村千瑞
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